当サイトの呵名コンバーターはどの言語もいずれも
ボタン一発で
正解の発音を入手することができるのですが
ハングル韓国語の発音記号アクセント変換機
のみは性質を異にします。
ハングル韓国語を真剣に学ぼうとする方々の学習用としての呵名コンバーター。
正解の一歩手前で止めてあります。
ハングル一字一字の変換機。
熟語としての発音は各自で修正していただきます。
辞書に載っている全単語の発音記号を準備したとしても
助詞との組み合わせの際の音の修正は各自でやらなければならない。
ハングルの発音変化の法則がいくつもあり、
外国の人はこれを理解するのが大変なのです。
やるしかない。
世宗大王が実現してみせた、すべての発音を表現する記号。
陰陽を元にした、発音記号のひとつの理想形がハングル。
ハングル韓国語版の呵名コンバーターで表示されるのは
ハングル一字ごとの発音。
子音と母音を総当たりできるようになっているがゆえ、
実際に発音してみると言いにくい音が当然生じるわけです。
言いにくい音は言いやすい音に自然と変わります。
ですので、現在日常的に使われている韓国語の発音は
実用としてカスタマイズされています。
言い方を変えると、
発音記号としての元々のハングルとは発音にズレが生じています。
ズレが生じている、と言いましたが、
音声学として見ると
当然そのように変化してしかるべきだよね
というパターンばかりなのも確か。
ハングルを学ぶことは音声学の理想的な実験場に入ることである
と言っても、過言ではまったくありません。
ハングルの発音変化の法則を
例文と共に学んでいきましょう。
例文はこちら。
일인치 정도 되는 자막의 장벽을 뛰어 넘으면 여러분들이 훨씬 더 많은 영화를 즐길 수 있습니다.
(字幕という1インチの高さの壁を越えることができれば、もっと多くの素晴らしい映画と出合うことができるのです。)
2019年の映画『パラサイト 半地下の家族』が
最優秀外国語映画賞を受賞したゴールデン・グローブ賞の授賞式の際に
ポン・ジュノ監督が語った内容です。
韓国の方が世界に発信した最も有名な名言。
2020年1月5日のこと。
https://www.youtube.com/watch?v=N2Xgpxp4nLA
(0分39秒目から0分45秒目まで)
일인치 정도 되는 자막의 장벽을 뛰어 넘으면
여러분들이 훨씬 더 많은 영화를 즐길 수 있습니다.
(字幕という1インチの高さの壁を越えることができれば、
もっと多くの素晴らしい映画と出合うことができるのです。)
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<01>有声音化(無声音と有声音について)
まず初めに学ぶ必要があるのが
有声音化。
ハングルの場合、
無声音と有声音の違いがないが使い分ける
という、日本人にとって厄介な現象があります。
最もシンプルにいえば、
有声音である母音に挟まれた子音は有声音で言う、というルール。
ᄀ [k]【ク】/[g]【グ】
ᄃ [t]【ト】/[d]【ド】
ᄇ [p]【プ】/[b]【ブ】
ᄌ [ʧ]【チ】/[ʤ]【ヂ】
すなわち
ᄀは、[k]【ク】と言ってもいいし、[g]【グ】と言ってもいい。
ᄃは、[t]【ト】と言ってもいいし、[d]【ド】と言ってもいい。
ᄇは、[p]【プ】と言ってもいいし、[b]【ブ】と言ってもいい。
ᄌは、[ʧ]【チ】と言ってもいいし、[ʤ]【ヂ】と言ってもいい。
なお、
[k]【ク】/[g]【グ】
[t]【ト】/[d]【ド】
[p]【プ】/[b]【ブ】
[ʧ]【チ】/[ʤ]【ヂ】
のうち、
前者の
[k]【ク】
[t]【ト】
[p]【プ】
[ʧ]【チ】
が無声音、
後者の
[g]【グ】
[d]【ド】
[b]【ブ】
[ʤ]【ヂ】
が有声音
となります。
のどに手を当ててください。
のどが震えないのが無声音です。清音とも言います。
のどがふるえるのが有声音です。濁音とも言います。
無声音は声帯が振動しない。
有声音は声帯が振動する。
無声音でも有声音でもどっちでもいいために
有声音である母音に挟まれた子音は有声音で言った方が言いやすい。
よって、文中にある場合は有声音。
子音が文頭にある場合は無声音の方が言いやすいので、
よって、文頭にある場合は無声音。
すなわち、
子音は文中にある方が圧倒的に多いので、有声音で表した方がいいものの、
辞書の場合、単語ごとなので、
掲載している発音記号は必ず語頭の子音が無声音。
だからややこしいのです。
辞書では語頭の子音は無声音でしか掲載していないので
有声音化を各自でしなくてはいけない。
当サイトのハングル韓国語の呵名コンバーターでは
①と②の出力を文頭として、すなわち無声音として、
③と④の出力を文中として、すなわち有声音として、
それぞれアウトプットしています。
自動化して一本化できなくもなかったのですが、
子音が無声音のままであるタイミングは
文章の切れ目、息継ぎした後の最初の子音ですので、
無声音も有声音もそれぞれ出力して
使用者に編集してもらった方が納得しやすいと思い、
このようにしました。
楽にならないストレスより、
全体像が見えないストレスの方を
避けようと思ったのです。
面倒くさいと思ったならば
いずれかで押し通してください。
通じます。
辞書を一切使わずハングルを話すなら③と④の出力をお勧めします。
辞書を引きながらハングルを話すなら①と②の出力をお勧めします。
できうる限り韓国人の発音に近づきたいのなら
①②③④を駆使するためにこのページを熟読してください。
ちなみに辞書とは
『韓日辞典』(小学館)を指します。
で。
ポン・ジュノ監督の名言の冒頭は
일인치(1インチ)
①【イれ イヌ チっイ】
①[ iɭ in ʧʰi ]
②【イれ イヌ チっイ】
②[ iɭ in ʧʰi ]
③【イれ イヌ ヂっイ】
③[ iɭ in ʤʰi ]
④【イれ イヌ ヂっイ】
④[ iɭ in ʤʰi ]
と出力されました。
リンク先
呵名コンバーター(ハングル韓国語)発音記号アクセント変換機
でも説明書きをした通り、
①②③④はそれぞれ
①文頭で子音前
②文頭で母音前
③文中で子音前
④文中で母音前
を表します。
일인치の일は
文頭にありますので①あるいは②。
일の次の인は語頭が母音。
よって
일인の2語の発音を見る場合は、①ではなく②を選びます。
(今回の場合、일인の発音は①②③④全部同じですが)
일인
②【イれ イヌ】
②[ iɭ in ]
と特定できました。
次に
2つ目の語と3つ目の語
인치
について特定してみましょう。
1つ目の語のみが文頭ですので
それ以外はすべて文中です。
よって
2つ目の語と3つ目の語
인치
は③か④になります。
인치
③【イヌ ヂっイ】
③[ in ʤʰi ]
④【イヌ ヂっイ】
④[ in ʤʰi ]
③文中で子音前
④文中で母音前
인の次の치は語頭が子音。
よって
인치の2語の発音を見る場合は、④ではなく③を選びます。
인치
③【イヌ ヂっイ】
③[ in ʤʰi ]
と特定できました。
(なんとこの場合は例外となっていくのですが、順に読み進めていってください)
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<02>平音と激音と濃音
さあここで
っ
が登場しました。
日本語だと
促音
と呼ばれる発音。
ハングル韓国語だと
平音・激音・濃音
に関する発音です。
ハングル韓国語の最大の特徴であり、最大の難所です。
ここをクリアしたら発音に関して後は楽なので
一気にまとめて説明します。
平音はおなじみの普通の音です。
平音に
【っ】[ ʰ ]
が付いたのが
激音です。
中国語の帯気音としておなじみです。
平音に
【ッ】[ ˭ ]
が付いたのが
濃音です。
日本語の促音としておなじみです。
中国語の帯気音と日本語の促音が何か知っている人については
激音と濃音の説明を受けるのはここまででいいと思います。
理解について曖昧な方は
ここから読み物としてお付き合いください。
激音は
中国語の帯気音と同じです。
子音と母音の間に生じます。
ハングル韓国語の激音を
IPAでは上付き文字の[ ʰ ]とし
呵名発音では【っ】とします。
【っ】[ ʰ ]
は勢いのある息の流れを表し、
初心者の場合、ティッシュを口の前にぶら下げることで体得します。
[ pa ]の場合は、ティッシュがほとんど動きませんが、
[ pʰa ]の場合は、ティッシュが跳ね上がります。
子音の[ p ]と母音の[ a ]の間に、勢いのある息の流れの帯気音[ ʰ ]が挟まれるのが
有気音[ pʰa ]という音なのです。
無気音[ pa ]だと、勢いのある息の流れ[ ʰ ]がありません。
中国語とハングル韓国語の違いとしては、
中国語だと、無声音が有気音になりますが、
ハングル韓国語だと、無声音でも有声音でも有気音になります。それがハングル韓国語の激音【っ】[ ʰ ]なのです。
濃音は
日本語の促音と同じです。
母音と子音の間に生じます。
ハングル韓国語の濃音を
IPAでは上付き文字の[ ˭ ]とし
呵名発音では【ッ】とします。
【ッ】[ ˭ ]
と単一の記号で表現していますが
厳密には単一の記号で表現すべきではない現象とも言えます。
日本語の促音とは何なのでしょう。
ローマ字で表現すると分かります。
一般(イッパン)ippan
一択(イッタク)ittaku
一貫(イッカン)ikkan
ッに当たるところは
ppのうちの最初のp
ttのうちの最初のt
kkのうちの最初のk
なのです。
ッの正体はpでもありtでもありkでもある。
促音とはすなわち
長子音の前半
なのです。
ですので、促音ッとは
単独の音ではなく、統一の特徴を持つ音の現象のことなのです。
日本語の撥音ンと同じですね。
撥音ンの正体はア・イ・ウ・エ・オである母音の鼻音化です。
それが証拠に撥音ンは舌がどこにもつかない。
舌が付かないので子音ではないですし、
口の形がそれぞれ別々です。
アン・イン・ウン・エン・オンと言った際、
アンのンはアと同じ口、
インのンはイと同じ口、
ウンのンはウと同じ口、
エンのンはエと同じ口、
オンのンはオと同じ口、
ですよね。
ポルトガル語やフランス語なら
アンのンは[ ã ]
インのンは[ ĩ ]
ウンのンは[ ũ ]
エンのンは[ ẽ ]
オンのンは[ õ ]
と異なる発音の表記をするべきところ
【ン】[ ɴ ]と便宜的にひとつの記号で表記しています。
日本語のンは英語のnとまったく違います。
英語【ンヌ】[ n ]は舌が歯茎に付く、れっきとした子音です。
ハングル韓国語も英語と同様に子音として発音、【ヌ】[ n ]と表記しています。
ながく撥音ンの例を挙げましたが、同様に
促音ッも異なる発音の表記をするべきところ
【ッ】[ ˭ ]と便宜的にひとつの記号で表記することとします。
日本語とハングル韓国語の違いとしては、
日本語だと、母音と子音の間にしか促音ッは生じませんが、
ハングル韓国語だと、文頭でも生じます。それが濃音です。
日本語でも日常会話で
いらいらしている時
「まったく」を
「ったく」と言ったりしますよね。
紙で手を切った時
「いってえ」を
「ってえ」と言ったりしますよね。
「ったく」は「たく」と明らかに異なる発音で出しています。
「ってえ」は「てえ」と明らかに異なる発音で出しています。
このような文頭の「っ」が発音の標準形として頻繁に出てくるのが
ハングル韓国語の濃音【ッ】[ ˭ ]なのです。
当サイトのハングル韓国語の呵名コンバーターでは
出力パターンが①②③④の4つあります。
それもこれも、
文頭が無声音(①と②)
文中が有声音(③と④)
として発音されるためです。
文頭と文中で発音が変わるのは、以下の平音と激音、合わせて8つのハングル。
/の前者が無声音
/の後者が有声音
です。
平音
ᄇ【プ】[ p ]/【ブ】[ b ]
ᄃ【ト】[ t ]/【ド】[ d ]
ᄀ【ク】[ k ]/【グ】[ g ]
ᄌ【チ】[ ʧ ]/【ヂ】[ ʤ ]
激音
ᄑ【プっ】[ pʰ ]/【ブっ】[ bʰ ]
ᄐ【トっ】[ tʰ ]/【ドっ】[ dʰ ]
ᄏ【クっ】[ kʰ ]/【グっ】[ gʰ ]
ᄎ【チっ】[ ʧʰ ]/【ヂっ】[ ʤʰ ]
ポン・ジュノ監督の名言の冒頭は
일인치(1インチ)。
3つ目の語
치
は文中にあるので
子音は有声音。
よって
ポン・ジュノ監督の名言の冒頭は
일인치(1インチ)
【イれ イヌ ヂっイ】
[ iɭ in ʤʰi ]
これで正解と言いたいところですが
文頭は無声音・文中は有声音
という基本を破る例外事項に
この単語は該当するのです。
曰く、
外来語由来の単語は、その外来語の発音に順じる。
この単語は
1インチ
という意味なので
inch
【インチ】
[ ɪntʃ ]
というのが英語の場合での発音です。
よって、ハングルの文中だとしても
【イれ イヌ ヂっイ】
[ iɭ in ʤʰi ]
ではなく
【イれ イヌ チっイ】
[ iɭ in ʧʰi ]
となるのです。
インチなので。
呵名およびIPAの空白部分を詰めて連結させるなら
言い換えれば、
サンク・ユーをサンキューという英語のようにリンキングさせるなら
ハングル学習用語で言うところの連音化させるなら
【イりインチっイ】
[ iɭinʧʰi ]
となります。
ポン・ジュノ監督の発音が再現できました。
* * * * * * * * * *
<03>ハングルで五十音表、ハングルのカナダラ表
かの有名な
個人が作った唯一の文字
韓国語のハングル。
その人の名は、世宗(せいそう)。
世宗大王。
李氏朝鮮、朝鮮半島の王。
1418年から1450年までの治世。
1446年に『訓民正音』としてハングル公布。
三次元的、立体的
とも称されるハングル。
中国の漢字が
表意文字であるのに対し
韓国のハングルは表音文字。
同じく表音文字である
欧米のローマ字とも
日本の仮名とも
表記方法が異なる
オリジナルなシステム、ハングルを見ていきましょう。
ᅥ(ア段) | ᅵ(イ段) | ᅮ(ウ段) | ᅦ(エ段) | ᅩ(オ段) | |
ᄋ(ア行) | 어 あ a | 이 い i | 우 う u | 에 え e | 오 お o |
ᄀ(カ行) | 거 か ka | 기 き ki | 구 く ku | 게 け ke | 고 こ ko |
ᄉ(サ行) | 서 さ sa | 시 し si | 수 す su | 세 せ se | 소 そ so |
ᄃ(タ行) | 더 た ta | 디 ち ti | 두 つ tu | 데 て te | 도 と to |
ᄂ(ナ行) | 너 な na | 니 に ni | 누 ぬ nu | 네 ね ne | 노 の no |
ᄒ(ハ行) | 허 は ha | 히 ひ hi | 후 ふ hu | 헤 へ he | 호 ほ ho |
ᄆ(マ行) | 머 ま ma | 미 み mi | 무 む mu | 메 め me | 모 も mo |
(ヤ行) | 여 や ja | 유 ゆ yu | 요 よ yo | ||
ᄅ(ラ行) | 러 ら ra | 리 り ri | 루 る ru | 레 れ re | 로 ろ ro |
(ワ行) | 워 わ wa |
日本語の五十音に
ローマ字とともに
ハングルを当てはめると
上の表のようになります。
子音と母音、それぞれの記号が決まっています。
その点ではローマ字と同じです。
日本語の仮名は
表記された記号として見れば一切の法則性がまったくありません。
「は」と「ほ」の
左の縦棒は何かな、ハ行と関連があるのかな
と思いきや、
左の縦棒のあるあとの2つは
「け」「に」。
母音すら一致しない。
元となる漢字を崩して記号化したのが平仮名であり、
計→け
仁→に
波→は
保→ほ
となるのですが、
一致するのは
にんべん由来の「に」と「ほ」であるという
音として一切関連しないという罠。
ごんべんだったかさんずいだったか、
日本人でもほとんどの人はパッと言えない。
元の漢字と対応する平仮名が音の点で一致するのみで
母音の段や子音の行で一致する要素は皆無であるわけです。
よって、新規に学習するという観点では
遥かに易しいです。
さすがは世宗が教育用にもともと作っただけのことはある。
容易に、という点では
複雑な漢字をシンプルな表記に
という発想の日本語の仮名と一致するのですが。
それぞれの文字の歴史に想いを馳せつつ。
それぞれの、
ということで
日本の仮名の歴史に想いを馳せてもいいですか。
かつて日本の文字は漢字のみ。
日本で従来からあった言葉も
万葉仮名で表現してました。
漢字(真名)の音を仮借して用いられた文字。
その万葉仮名をくずして書いた草書が草仮名となり
更に優雅に書きやすくしたのが仮名。
私的なメモや手紙にて利用された仮名を
公式文書として書き記したのが
紀貫之
「やまとうたは人の心を種として、よろづの言の葉とぞなれりける。」
で始まる『古今和歌集』の仮名序。西暦905年。
権威の漢字に対し
生き生きと人の心を表現するのに使われたのが仮名。
日本には日本の
仮名には仮名の
いきさつがあって今があります。
ものの始まりには動機があるのです。
さて韓国のハングルに話を戻しましょう。
ハングルを五十音表で見ることで気づく点としては
母音のうち、
イ段ᅵとエ段ᅦとア段ᅥを表現する長い線を縦線に
ウ段ᅮとオ段ᅩを表現する長い線を横線にしていますね。
エ段のᅦは、アとイの間の音なので、
ア段のᅥと
イ段のᅵを
組み合わせて作ったのだなあ、と。
aとeを組み合わせて、aとeの間の音である発音記号
[ æ ]
を作ったのと同じ発想なのです。
ア段ᅥ ア 어
イ段ᅵ イ 이
ウ段ᅮ ウ 우
エ段ᅦ エ 에
オ段ᅩ オ 오
左右のハングルを見比べると
右には存在する丸(ᄋ)が、左にはありません。
左の記号は、字母と呼ばれる文字の要素です。
さんずい(氵)やしんにょう(辶)といった、漢字の部首に当たります。
ハングルの文字としては存在しないものです。
子音のないア行を
ローマ字なら子音抜きでa、i、u、e、oと表記しますが
子音のないア行を
ハングルとして表記する場合は
子音なしの記号であるᄋをつけることになっています。
ᄋは空(くう)の子音、とでも言いましょうか。
ᄋは音のない子音。
でもこれがあるから母音始まりの音もハングルになるのです。
ないと字としてバランスがめっちゃ悪くなっちゃう。美意識。
よって
アイウエオ
をハングルでは
ᅥᅵᅮᅦᅩではなく
어이우에오と表記します。
あと、
ヤ行とワ行に子音の記号そのものがありません。
理由があります。
ハングルではヤ行とワ行を二重母音として考えているのです。
ヤ = ィア
ユ = ィウ
ヨ = ィオ
ワ = ゥア
というふうに。
ゆっくり口に出してみると、
イコールの左と右の音が同じであることが分かりますよね。
ヤ行のハングルは
여(ヤ)
유(ユ)
요(ヨ)
を
어(ア)
우(ウ)
오(オ)
と比べて分かるように
短い線を2つにすることで二重母音の最初の音ィを表しています。
ア段ᅥ ィヤ段ᅧ
ウ段ᅮ ィユ段ᅲ
オ段ᅩ ィヨ段ᅭ
ということなのです。
ワ行の
워(ワ)の
母音部分は
ᅯ
すなわち
ア段ᅥ
ウ段ᅮ
の組み合わせなのですね。
ゥワ段ᅯ
となります。
カナダラ表
基本母音
ㅏ [a] | ㅑ [ja] | ㅓ [ʌ] | ㅕ [jʌ] | ㅗ [o] | ㅛ [jo] | ㅜ [u] | ㅠ [ju] | ㅡ [wu] | ㅣ [i] | |
ㄱ [g] | 가 [ga] | 갸 [gja] | 거 [gʌ] | 겨 [gjʌ] | 고 [go] | 교 [gjo] | 구 [gu] | 규 [gju] | 그 [gwu] | 기 [gi] |
ㄴ [n] | 나 [na] | 냐 [nja] | 너 [nʌ] | 녀 [njʌ] | 노 [no] | 뇨 [njo] | 누 [nu] | 뉴 [nju] | 느 [nwu] | 니 [ni] |
ㄷ [d] | 다 [da] | 댜 [dja] | 더 [dʌ] | 뎌 [djʌ] | 도 [do] | 됴 [djo] | 두 [du] | 듀 [dju] | 드 [dwu] | 디 [di] |
ㄹ [ɾ] | 라 [ɾa] | 랴 [ɾja] | 러 [ɾʌ] | 려 [ɾjʌ] | 로 [ɾo] | 료 [ɾjo] | 루 [ɾu] | 류 [ɾju] | 르 [ɾwu] | 리 [ɾi] |
ㅁ [m] | 마 [ma] | 먀 [mja] | 머 [mʌ] | 며 [mjʌ] | 모 [mo] | 묘 [mjo] | 무 [mu] | 뮤 [mju] | 므 [mwu] | 미 [mi] |
ㅂ [b] | 바 [ba] | 뱌 [bja] | 버 [bʌ] | 벼 [bjʌ] | 보 [bo] | 뵤 [bjo] | 부 [bu] | 뷰 [bju] | 브 [bwu] | 비 [bi] |
ㅅ [s] | 사 [sa] | 샤 [sja] | 서 [sʌ] | 셔 [sjʌ] | 소 [so] | 쇼 [sjo] | 수 [su] | 슈 [sju] | 스 [swu] | 시 [si] |
ㅇ [ ] | 아 [a] | 야 [ja] | 어 [ʌ] | 여 [jʌ] | 오 [o] | 요 [jo] | 우 [u] | 유 [ju] | 으 [wu] | 이 [i] |
ㅈ [ʤ] | 자 [ʤa] | 쟈 [ʤja] | 저 [ʤʌ] | 져 [ʤjʌ] | 조 [ʤo] | 죠 [ʤjo] | 주 [ʤu] | 쥬 [ʤju] | 즈 [ʤwu] | 지 [ʤi] |
ㅊ [ʤʰ] | 차 [ʤʰa] | 챠 [ʤʰja] | 처 [ʤʰʌ] | 쳐 [ʤʰjʌ] | 초 [ʤʰo] | 쵸 [ʤʰjo] | 추 [ʤʰu] | 츄 [ʤʰju] | 츠 [ʤʰwu] | 치 [ʤʰi] |
ㅋ [gʰ] | 카 [gʰa] | 캬 [gʰja] | 커 [gʰʌ] | 켜 [gʰjʌ] | 코 [gʰo] | 쿄 [gʰjo] | 쿠 [gʰu] | 큐 [gʰju] | 크 [gʰwu] | 키 [gʰi] |
ㅌ [dʰ] | 타 [dʰa] | 탸 [dʰja] | 터 [dʰʌ] | 텨 [dʰjʌ] | 토 [dʰo] | 툐 [dʰjo] | 투 [dʰu] | 튜 [dʰju] | 트 [dʰwu] | 티 [dʰi] |
ㅍ [bʰ] | 파 [bʰa] | 퍄 [bʰja] | 퍼 [bʰʌ] | 펴 [bʰjʌ] | 포 [bʰo] | 표 [bʰjo] | 푸 [bʰu] | 퓨 [bʰju] | 프 [bʰwu] | 피 [bʰi] |
ㅎ [h] | 하 [ha] | 햐 [hja] | 허 [hʌ] | 혀 [hjʌ] | 호 [ho] | 효 [hjo] | 후 [hu] | 휴 [hju] | 흐 [hwu] | 히 [hi] |
ㄲ [˭k] | 까 [˭ka] | 꺄 [˭kja] | 꺼 [˭kʌ] | 껴 [˭kjʌ] | 꼬 [˭ko] | 꾜 [˭kjo] | 꾸 [˭ku] | 뀨 [˭kju] | 끄 [˭kwu] | 끼 [˭ki] |
ㄸ [˭t] | 따 [˭ta] | 땨 [˭tja] | 떠 [˭tʌ] | 뗘 [˭tjʌ] | 또 [˭to] | 뚀 [˭tjo] | 뚜 [˭tu] | 뜌 [˭tju] | 뜨 [˭twu] | 띠 [˭ti] |
ㅃ [˭p] | 빠 [˭pa] | 뺘 [˭pja] | 뻐 [˭pʌ] | 뼈 [˭pjʌ] | 뽀 [˭po] | 뾰 [˭pjo] | 뿌 [˭pu] | 쀼 [˭pju] | 쁘 [˭pwu] | 삐 [˭pi] |
ㅆ [˭s] | 싸 [˭sa] | 쌰 [˭sja] | 써 [˭sʌ] | 쎠 [˭sjʌ] | 쏘 [˭so] | 쑈 [˭sjo] | 쑤 [˭su] | 쓔 [˭sju] | 쓰 [˭swu] | 씨 [˭si] |
ㅉ [˭ʧ] | 짜 [˭ʧa] | 쨔 [˭ʧja] | 쩌 [˭ʧʌ] | 쪄 [˭ʧjʌ] | 쪼 [˭ʧo] | 쬬 [˭ʧjo] | 쭈 [˭ʧu] | 쮸 [˭ʧju] | 쯔 [˭ʧwu] | 찌 [˭ʧi] |
複合母音
ㅐ [ɛ] | ㅒ [jɛ] | ㅔ [e] | ㅖ [je] | ㅘ [wa] | ㅙ [wɛ] | ㅚ [we] | ㅝ [wʌ] | ㅞ [weː] | ㅟ [wi] | ㅢ [jɪ] | |
ㄱ [g] | 개 [gɛ] | 걔 [gjɛ] | 게 [ge] | 계 [gje] | 과 [gwa] | 괘 [gwɛ] | 괴 [gwe] | 궈 [gwʌ] | 궤 [gweː] | 귀 [gwi] | 긔 [gjɪ] |
ㄴ [n] | 내 [nɛ] | 냬 [njɛ] | 네 [ne] | 녜 [nje] | 놔 [nwa] | 놰 [nwɛ] | 뇌 [nwe] | 눠 [nwʌ] | 눼 [nweː] | 뉘 [nwi] | 늬 [njɪ] |
ㄷ [d] | 대 [dɛ] | 댸 [djɛ] | 데 [de] | 뎨 [dje] | 돠 [dwa] | 돼 [dwɛ] | 되 [dwe] | 둬 [dwʌ] | 뒈 [dweː] | 뒤 [dwi] | 듸 [djɪ] |
ㄹ [ɾ] | 래 [ɾɛ] | 럐 [ɾjɛ] | 레 [ɾe] | 례 [ɾje] | 롸 [ɾwa] | 뢔 [ɾwɛ] | 뢰 [ɾwe] | 뤄 [ɾwʌ] | 뤠 [ɾweː] | 뤼 [ɾwi] | 릐 [ɾjɪ] |
ㅁ [m] | 매 [mɛ] | 먜 [mjɛ] | 메 [me] | 몌 [mje] | 뫄 [mwa] | 뫠 [mwɛ] | 뫼 [mwe] | 뭐 [mwʌ] | 뭬 [mweː] | 뮈 [mwi] | 믜 [mjɪ] |
ㅂ [b] | 배 [bɛ] | 뱨 [bjɛ] | 베 [be] | 볘 [bje] | 봐 [bwa] | 봬 [bwɛ] | 뵈 [bwe] | 붜 [bwʌ] | 붸 [bweː] | 뷔 [bwi] | 븨 [bjɪ] |
ㅅ [s] | 새 [sɛ] | 섀 [sjɛ] | 세 [se] | 셰 [sje] | 솨 [swa] | 쇄 [swɛ] | 쇠 [swe] | 숴 [swʌ] | 쉐 [sweː] | 쉬 [swi] | 싀 [sjɪ] |
ㅇ [ ] | 애 [ɛ] | 얘 [jɛ] | 에 [e] | 예 [je] | 와 [wa] | 왜 [wɛ] | 외 [we] | 워 [wʌ] | 웨 [weː] | 위 [wi] | 의 [jɪ] |
ㅈ [ʤ] | 재 [ʤɛ] | 쟤 [ʤjɛ] | 제 [ʤe] | 졔 [ʤje] | 좌 [ʤwa] | 좨 [ʤwɛ] | 죄 [ʤwe] | 줘 [ʤwʌ] | 줴 [ʤweː] | 쥐 [ʤwi] | 즤 [ʤjɪ] |
ㅊ [ʤʰ] | 채 [ʤʰɛ] | 챼 [ʤʰjɛ] | 체 [ʤʰe] | 쳬 [ʤʰje] | 촤 [ʤʰwa] | 쵀 [ʤʰwɛ] | 최 [ʤʰwe] | 춰 [ʤʰwʌ] | 췌 [ʤʰweː] | 취 [ʤʰwi] | 츼 [ʤʰjɪ] |
ㅋ [gʰ] | 캐 [gʰɛ] | 컈 [gʰjɛ] | 케 [gʰe] | 켸 [gʰje] | 콰 [gʰwa] | 쾌 [gʰwɛ] | 쾨 [gʰwe] | 쿼 [gʰwʌ] | 퀘 [gʰweː] | 퀴 [gʰwi] | 킈 [gʰjɪ] |
ㅌ [dʰ] | 태 [dʰɛ] | 턔 [dʰjɛ] | 테 [dʰe] | 톄 [dʰje] | 톼 [dʰwa] | 퇘 [dʰwɛ] | 퇴 [dʰwe] | 퉈 [dʰwʌ] | 퉤 [dʰweː] | 튀 [dʰwi] | 틔 [dʰjɪ] |
ㅍ [bʰ] | 패 [bʰɛ] | 퍠 [bʰjɛ] | 페 [bʰe] | 폐 [bʰje] | 퐈 [bʰwa] | 퐤 [bʰwɛ] | 푀 [bʰwe] | 풔 [bʰwʌ] | 풰 [bʰweː] | 퓌 [bʰwi] | 픠 [bʰjɪ] |
ㅎ [h] | 해 [hɛ] | 햬 [hjɛ] | 헤 [he] | 혜 [hje] | 화 [hwa] | 홰 [hwɛ] | 회 [hwe] | 훠 [hwʌ] | 훼 [hweː] | 휘 [hwi] | 희 [hjɪ] |
ㄲ [˭k] | 깨 [˭kɛ] | 꺠 [˭kjɛ] | 께 [˭ke] | 꼐 [˭kje] | 꽈 [˭kwa] | 꽤 [˭kwɛ] | 꾀 [˭kwe] | 꿔 [˭kwʌ] | 꿰 [˭kweː] | 뀌 [˭kwi] | 끠 [˭kjɪ] |
ㄸ [˭t] | 때 [˭tɛ] | 떄 [˭tjɛ] | 떼 [˭te] | 뗴 [˭tje] | 똬 [˭twa] | 뙈 [˭twɛ] | 뙤 [˭twe] | 뚸 [˭twʌ] | 뛔 [˭tweː] | 뛰 [˭twi] | 띄 [˭tjɪ] |
ㅃ [˭p] | 빼 [˭pɛ] | 뺴 [˭pjɛ] | 뻬 [˭pe] | 뼤 [˭pje] | 뽜 [˭pwa] | 뽸 [˭pwɛ] | 뾔 [˭pwe] | 뿨 [˭pwʌ] | 쀄 [˭pweː] | 쀠 [˭pwi] | 쁴 [˭pjɪ] |
ㅆ [˭s] | 쌔 [˭sɛ] | 썌 [˭sjɛ] | 쎄 [˭se] | 쎼 [˭sje] | 쏴 [˭swa] | 쐐 [˭swɛ] | 쐬 [˭swe] | 쒀 [˭swʌ] | 쒜 [˭sweː] | 쒸 [˭swi] | 씌 [˭sjɪ] |
ㅉ [˭ʧ] | 째 [˭ʧɛ] | 쨰 [˭ʧjɛ] | 쩨 [˭ʧe] | 쪠 [˭ʧje] | 쫘 [˭ʧwa] | 쫴 [˭ʧwɛ] | 쬐 [˭ʧwe] | 쭤 [˭ʧwʌ] | 쮀 [˭ʧweː] | 쮜 [˭ʧwi] | 쯰 [˭ʧjɪ] |
日本語での
アカサタナ
に該当するのが
ハングル韓国語での
カナダラ。
上記の表を見ると
ガナダラ表
と言うべきでは、と思ってしまいますが、
上記の表の大きさの都合で私が
IPA(国際音声記号)の子音に関して清音を省略し濁音のみにしたためであり
実際に
カナダラ表
となぜ言うのかはもうみなさんはお分かりですね。
文頭は無声音(清音)で文中は有声音(濁音)だからです。
なお、なぜこの順番なのか。
記号として複雑なハングルほど後ろなのは分かりますが
音声学的な分類に基づいているわけではないのです。
日本語の五十音なら音声学的な分類に基づいているのかというと
そうでもありません。
日本語の五十音表の前半は(カサタナハマ)、
強い子音(破裂音・鼻音)で、調音点が口の奥のほうの子音から順に配列。
日本語の五十音表の後半は(ヤラワ)、
弱い子音(接近音・摩擦音)のうち、調音点が口の奥のほうから順に配列。
とWikipediaにはありますが、
サ行は摩擦音であり、後半に入れるべきところを調音点のため無理やりこの場所にした印象。
ハ行はかつてパ行で発音したのでこの位置なのは納得しますが
今のハ行は私に言わせれば無声母音なのでア行の隣にしたい。
や行がら行より先に来るの、いまだに信じられない
— 上白石 萌歌 (@moka_____k) March 26, 2024
そうだよねえ。
イの半母音のヤ行は5つではなく3つ
ウの半母音のワ行は5つではなく2つ
なのだし、ヤ行とワ行は最後に隣通しでいいと思う。
あと、
ㄹの発音(R/Lの発音)のところで詳しく語るけど
ハングルのᆯ [ ɭ ]【れ】は硬口蓋音だけど、
日本語のラ行は歯茎音なのですね。
よって、ついでに
調音点が歯茎でありながら舌が歯茎に付かない
摩擦音のサ行と側流音のラ行も隣通しがいいと思う。
パバマタダナサラカガカ゚ハアヤワ表
でいいと思う。
まあ
音声学者はそういう言い方するよね。
一蹴された。
最初に決める人は
それほど責任重大なのです。
史実の新発見があるたび
歴史の教科書は書き直されるけど
どっちでもいいと思われているのは
最初のまま。
慣れ親しんだのを変えるのも面倒くさいし。
それは伝統という根拠となり、残り続ける。
abcだって、この順でなければいけない合理的理由はないものなあ。
26文字そろってさえすればいいわけで。
日本語も韓国語も表の最初に登場する子音が
[ k ]
であるところなどは、強く印象に残りやすい代表的な音だからだろうなあ。
五十音の順番を変えようとするように、
全体を変えるというのは大変なこと。
個人でやる分にはまったく問題が生じないのだけどね。
ここに個と全の本質があるのです。
* * * * * * * * * *
<04>初声と中声とパッチム(終声)
日本の五十音表は
子音+母音
に関する表です。
実際のハングルは
子音+母音+子音
で構成されています。
最初の子音を
初声、
真ん中の母音を
中声、
最後の子音を
終声(パッチム)、
と言います。
パッチムという言葉はもともと
下支えという意味です。
初声と中声とパッチム(終声)
それぞれの構成要素を
すべて取り出すと
次のようになります。
ハングル辞書の掲載順でもあります。
凡例
【グ / ク】において、前者は母音前、後者は子音前の本サイト表記です。
初声
(ㄱ、ㄲ、ㄴ、ㄷ、ㄸ、ㄹ、ㅁ、ㅂ、ㅃ、ㅅ、ㅆ、ㅇ、ㅈ、ㅉ、ㅊ、ㅋ、ㅌ、ㅍ、ㅎ)
ᄀ [ g / k ]【グ / ク】
ᄁ [ ˭k ]【ック】
ᄂ [ n ]【ヌ】
ᄃ [ d / t ]【ド / ト】
ᄄ [ ˭t ]【ット】
ᄅ [ ɾ ]【ル】
ᄆ [ m ]【ム】
ᄇ [ b / p ]【ブ / プ】
ᄈ [ ˭p ]【ップ】
ᄉ [ s ]【ス】
ᄊ [ ˭s ]【ッス】
ᄋ [ ]【 】
ᄌ [ ʤ / ʧ ]【ヂ / チ】
ᄍ [ ˭ʧ ]【ッチ】
ᄎ [ ʤʰ / ʧʰ ]【ヂっ / チっ】
ᄏ [ gʰ / kʰ ]【グっ / クっ】
ᄐ [ dʰ / tʰ ]【ドっ / トっ】
ᄑ [ bʰ / pʰ ]【ブっ / プっ】
ᄒ [ h ]【フ】
中声
(ㅏ、ㅐ、ㅑ、ㅒ、ㅓ、ㅔ、ㅕ、ㅖ、ㅗ、ㅘ、ㅙ、ㅚ、ㅛ、ㅜ、ㅝ、ㅞ、ㅟ、ㅠ、ㅡ、ㅢ、ㅣ)
ᅡ [ a ]【ア】
ᅢ [ ɛ ]【エ】
ᅣ [ ja ]【イヤ】
ᅤ [ jɛ ]【イエ】
ᅥ [ ʌ ]【ア】
ᅦ [ e ]【エ】
ᅧ [ jʌ ]【イヤ】
ᅨ [ je ]【イエ】
ᅩ [ o ]【オ】
ᅪ [ wa ]【ウワ】
ᅫ [ wɛ ]【ウエ】
ᅬ [ we ]【ウエ】
ᅭ [ jo ]【イヨ】
ᅮ [ u ]【ウ】
ᅯ [ wʌ ]【ウワ】
ᅰ [ weː ]【ウエー】
ᅱ [ wi ]【ウイ】
ᅲ [ ju ]【イユ】
ᅳ [ wʊ ]【ウウ】
ᅴ [ jɪ ]【イイ】
ᅵ [ i ]【イ】
終声(パッチム)
(ㄱ、ㄲ、ㄳ、ㄴ、ㄵ、ㄶ、ㄷ、ㄹ、ㄺ、ㄻ、ㄼ、ㄽ、ㄾ、ㄿ、ㅀ、ㅁ、ㅂ、ㅄ、ㅅ、ㅆ、ㅇ、ㅈ、ㅊ、ㅋ、ㅌ、ㅍ、ㅎ)
ᆨ [ g ]【グ】
ᆩ [ ˭g / g ]【ッグ / グ】
ᆪ [ gs / g ]【グス / グ】
ᆫ [ n ]【ヌ】
ᆬ [ nʤ / n ]【ンヂ / ヌ】
ᆭ [ nʰ / n ]【ヌっ / ヌ】
ᆮ [ d ]【ド】
ᆯ [ ɭ ]【れ】
ᆰ [ ɭg / g ]【れグ / グ】
ᆱ [ ɭm / m ]【れム / ム】
ᆲ [ ɭb / ɭ / b ]【れブ / れ / ブ】
ᆳ [ ɭs / ɭ ]【れス / れ】
ᆴ [ ɭdʰ / ɭ ]【れドっ / れ】
ᆵ [ ɭbʰ / bʰ ]【れブっ / ブっ】
ᆶ [ ɭʰ / ɭ ]【れっ / れ】
ᆷ [ m ]【ム】
ᆸ [ b ]【ブ】
ᆹ [ bs / b ]【ブス / ブ】
ᆺ [ s ]【ス】
ᆻ [ ˭s / s ]【ッス / ス】
ᆼ [ ŋ ]【ンぐ】
ᆽ [ ʤ ]【ヂ】
ᆾ [ ʤʰ / ʤ ]【ヂっ / ヂ】
ᆿ [ gʰ / g ]【グっ / グ】
ᇀ [ dʰ / d ]【ドっ / ド】
ᇁ [ bʰ / b ]【ブっ / ブ】
ᇂ [ ʰ / ]【っ / 】
初声と中声とパッチム(終声)
を理解すると
それぞれのハングルを見るだけで発音が分かるようになります。
こちらにご用意しました。
全ハングル一覧表(行:初声 列:中声終声)
行は初声
列は中声と終声
表として並べてあります。
表は上下2つあり
①終声ごと
②中声ごと
となっております。
ハングルとは突き詰めれば
立方体の発音表なのです。
ハングルそれぞれを呵名発音コンバーターに入力すれば
IPAおよび呵名としての発音記号に変換できます。
呵名コンバーター(ハングル韓国語)発音記号アクセント変換機
こちらはハングルごとに初声と中声とパッチム(終声)の発音を示したリストです。
韓国語のすべてのハングル11172語リスト(タイピング入力用ローマ字つき)
このリストに呵名も表記できればよかったのですが
重すぎてパソコン表示が不安定になってしまいますので。
呵名発音の表記なしの現状でも既にだいぶ重すぎてパソコン表示に時間かかってますよね。
初声と中声は
五十音表として理解できる通り
日本人にも分かりやすいのですが
日本語にないハングル独特の個性が
終声(パッチム)
です。
語ごとの最後の子音なのですが
dogやcatと同じと考えると痛い目に遭います。
英語とは違い
パッチム(終声)は
完全閉鎖音
です。
実際に聞いてみましょう。
박 の 韓国語 の発音:Forvo.com
박 [ pag ]【パグ】
박とは
韓国の主要な苗字
朴
です。
朴の英語表記はParkですが
ハングル対応タイピング入力用ローマ字だと
bag
です。
【パグ】
[ pag ]
pagのgの音がグとは一切聞こえないですよね。
パッ、と聞こえます。
곧 の 韓国語 の発音:Forvo.com
곧[ kod ]【コド】
ハングル対応タイピング入力用ローマ字だと
god、
まもなく、という意味を持つ곧もそうですね。
コッ、と聞こえます。
kodのdがドとは聞こえません。
なお、
ハングルのタイピング入力用ローマ字を
私はこちらのサイトで確認しています。
Unicode Character “곧”
(name: hangul syllable “god”)
英語だと
子音で終えた際、
IPA(国際音声記号)で表記されなくとも
わずかに母音の ə(シュワー)が含まれているので
その母音のおかげで
dogならグの音が
catならトの音が
聞こえるわけです。
dog [ dɔːg ]【ドーグ】
cat [ kæt ]【ケアト】
と表記していますが、
dog [ dɔːgə ]【ドーグ】
cat [ kætə ]【ケアト】
であるとも言えるわけです。
ハングルは違います。
終声(パッチム)は
完全に閉じて終わります。
完全閉鎖音。
音としては聞こえません。
微かに、日本人には微弱な
ッ
に当たる促音として聞こえます。
激音と濃音に加え、第三の詰まる音。
日本人から見ると、ハングルはまさに
促音言語です。
促音のバリエーションが半端ない。
ハングルにおいては
終声(パッチム)のとき
歯茎音なら
舌先を歯茎に触れたままで終えてください。
舌先を歯茎から離すと英語っぽい発音になってしまいます。
両唇音なら唇を閉じたまま、
軟口蓋音なら喉の奥を閉じたままです。
すると
こういう考え方も生まれます。
例えば
終声ᆮ [ d ]【ド】と終声ᆽ [ ʤ ]【ヂ】は
いずれも歯茎音であるがゆえに、ハングルの終声が完全閉鎖音なら同じ音ではないか、と。
終声ᆽ [ ʤ ]【ヂ】は
破擦音であり破裂音と摩擦音が合わさった音ですが、
舌を閉じたまま終えるなら、閉じた破裂音[ d ]のみ生じ摩擦音[ ʒ ]は生じない。
よって
終声ᆮも終声ᆽも[ d ]【ド】である、と。
ハングルが母語である韓国の皆さんは
このような考え方に基づいています。
終声ᆮ [ d ]【ド】と
終声ᆽ [ ʤ ]【ヂ】が
ᆮ [ d ]【ド】であるだけでなく
摩擦音の
終声ᆺ [ s ]【ス】も
ᆮ [ d ]【ド】です。
摩擦音でも終声だと舌が歯茎に付くという考えです。
ハングルでは
終声ᇂ [ ʰ / ]【っ / 】も
ᆮ [ d ]【ド】です。
初声[ h ]【フ】なら調音点が声門ですし、
終声ᇂ [ ʰ ]【っ】なら激音記号ですので後続の子音の調音点に準じるはずです。
母音前の終声ᇂ [ ]【 】だと音そのものがありません。
それでも
終声ᇂ [ ʰ / ]【っ / 】も
ᆮ [ d ]【ド】
の扱いです。
* * * * * * * * * *
<05>パッチム(終声)7代表音
ハングルにおいて、パッチムとして実際に存在する音は7つとされています。
調音点の違いによります。
鼻音も音色が異なるので分かれます。
ハングルのパッチム7代表音を表にしました。
以下の通りです。
凡例
[ dʰ / d ]において、前者は母音前、後者は子音前の本サイト表記です。
パッチム7代表音 | パッチム | 二重パッチム |
ᆮ [ d ]【ド】 ᆮ(dのパッチム)歯茎音破裂音 |
ᆮ [ d ]【ド】 ᇀ [ dʰ / d ]【ドっ / ド】 ᆺ [ s ]【ス】 ᆻ [ ˭s / s ]【ッス / ス】 ᆽ [ ʤ ]【ヂ】 ᆾ [ ʤʰ / ʤ ]【ヂっ / ヂ】 ᇂ [ ʰ / ]【っ / 】 |
|
ᆫ [ n ]【ヌ】 ᆫ(nのパッチム)歯茎音鼻音 |
ᆫ [ n ]【ヌ】 |
ᆬ [ nʤ / n ]【ンヂ / ヌ】 ᆭ [ nʰ / n ]【ヌっ / ヌ】 |
ᆯ [ ɭ ]【れ】 ᆯ(ɭのパッチム)硬口蓋音側流音 |
ᆯ [ ɭ ]【れ】 |
ᆳ [ ɭs / ɭ ]【れス / れ】 ᆴ [ ɭdʰ / ɭ ]【れドっ / れ】 ᆶ [ ɭʰ / ɭ ]【れっ / れ】 ᆲ [ ɭb / ɭ / b ]【れブ / れ / ブ】 |
ᆸ [ b ]【ブ】 ᆸ(bのパッチム)両唇音破裂音 |
ᆸ [ b ]【ブ】 ᇁ [ bʰ / b ]【ブっ / ブ】 |
ᆹ [ bs / b ]【ブス / ブ】 ᆵ [ ɭbʰ / bʰ ]【れブっ / ブっ】 ᆲ [ ɭb / ɭ / b ]【れブ / れ / ブ】 |
ᆷ [ m ]【ム】 ᆷ(mのパッチム)両唇音鼻音 |
ᆷ [ m ]【ム】 | ᆱ [ ɭm / m ]【れム / ム】 |
ᆨ [ g ]【グ】 ᆨ(gのパッチム)軟口蓋音破裂音 |
ᆨ [ g ]【グ】 ᆩ [ ˭g / g ]【ッグ / グ】 ᆿ [ gʰ / g ]【グっ / グ】 |
ᆪ [ gs / g ]【グス / グ】 ᆰ [ ɭg / g ]【れグ / グ】 |
ᆼ [ ŋ ]【ンぐ】 ᆼ(ŋのパッチム)軟口蓋音鼻音 |
ᆼ [ ŋ ]【ンぐ】 |
辞書ではパッチム7代表音で表記されているので理解しておいてください。
本サイトは外国人である私たちがハングルのメカニズムを理解するために作成したので
ハングルの記号と対応関係が密となる表記を本サイトは採用しました。
いずれの表記でも、同じ音を発することができます。
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<06>二重パッチム(二重終声)
上のパッチム7代表音の中に
二重パッチム
という用語が出てきました。
二重パッチム(二重終声)とは何でしょう。
갅というハングルがあります。
この語に意味はないのですが(辞書に載ってないので)、
発音上存在可能性があるため
活字としてもコンピューターの文字コードとしても存在します。
注目してほしいのが
갅という文字を構成する要素です。
文字を構成する要素のことをハングルでは字母と呼びますが
갅の
初声の字母はᄀ
中声の字母はᅡ
終声の字母はᆬ
となります。
終声のᆬに注目しましょう。
ᆬはᆫとᆽから成ります。
ᆫとᆽの2つあるのだから
2つとも発音するのだろうな
と思いますよね。
そうとは限らないところが
ハングルの大変なところです。
終声が2つあるのが二重パッチム。
次の語が母音スタートならパッチムを2つとも読みます(左→右の順)。
次の語が母音でないのならパッチムを1つだけ読みます。
パッチムを1つだけ読む際、
左だけ、あるいは、右だけ、と統一されていればいいのですが
語によってバラバラなのです。
二重パッチムは全部で11種類。
どちらを読むかは以下のようになります。
次の語の始めが母音でないとき、左のみ発音
ᆪ [ gs / g ]【グス / グ】
ᆬ [ nʤ / n ]【ンヂ / ヌ】
ᆭ [ nʰ / n ]【ヌっ / ヌ】
ᆳ [ ɭs / ɭ ]【れス / れ】
ᆴ [ ɭdʰ / ɭ ]【れドっ / れ】
ᆶ [ ɭʰ / ɭ ]【れっ / れ】
ᆹ [ bs / b ]【ブス / ブ】
次の語の始めが母音でないとき、右のみ発音
ᆰ [ ɭg / g ]【れグ / グ】
ᆱ [ ɭm / m ]【れム / ム】
ᆵ [ ɭbʰ / bʰ ]【れブっ / ブっ】
次の語の始めが母音でないとき、左のみ発音の場合と右のみ発音の場合の両方の熟語がある
ᆲ [ ɭb / ɭ / b ]【れブ / れ / ブ】
でもさ。
次が母音だと
パッチムの2つ目が出てくるなんて
なんだか
サイコロを展開図にして広げたみたいだ。
* * * * * * * * * *
<07>ㄹの発音(R/Lの発音)
完全閉鎖音という点で英語と決定的に違うのですが
子音そのものはどれも英語でも登場します。
その点で、英語と異なる発音をするので気を付けなければならないのが
ㄹという子音です。
ㄹは初声にも終声にもあるのですが異なる発音記号で示します。
例として、初声ㄹと終声ㄹを含む룰というハングルを見てみましょう。
ㄹの音(ɾ/ɭの音)
룰 [ ɾuɭ ]【ルれ】
初声 ᄅ [ ɾ ]【ル】
中声 ᅮ [ u ]【ウ】
終声 ᆯ [ ɭ ]【れ】
初声ㄹが[ ɾ ]【ル】
終声ㄹは[ ɭ ]【れ】
なのですね。
初声ㄹの[ ɾ ]をよく見てください。rではなくɾです。
rと異なり縦棒のない記号がɾです。
ɾは日本語のラ行の子音と同じです。
英語のrは舌がどこにも触れないのに対し
日本語と韓国語のɾは歯茎を叩き弾く叩弾音です。歯茎を一瞬だけ触れます。
初声ㄹは[ ɾ ]【ル】
終声ㄹの[ ɭ ]をよく見てください。lではなくɭです。
lと異なり下が右に曲がる記号がɭです。
英語のlは舌先だけでなく舌面で長めに歯茎と接触している音なのですが、
ハングルのɭは舌面が歯茎に触れたまま、歯茎の奥の硬口蓋までスライドします。
英語のlにせよハングルのɭにせよ、
破裂音と違い側流音なので舌面の両サイドが開いています。
気を付けてほしいのは音色です。
英語の[ l ]は
【る】(開いたl)
【う】(閉じたl)
とウ段で表記しますが
ハングルの[ ɭ ]は
【れ】(開いたɭ)
【え】(閉じたɭ)
とエ段で表記します。
舌面が歯茎より奥の硬口蓋までスライドするのに伴い、
口が狭いウ段ではなく、口が横に広がるエ段になっていると思われます。
実際に聞いてみましょう。
발 の 韓国語 の発音:Forvo.com
발[ paɭ ]【パれ】
물 の 韓国語 の発音:Forvo.com
물[ muɭ ]【ムれ】
ね。
でしょ。
音色がエ段なんです。
さらに呵名において
ハングルの[ ɭ ]は
【れ】(開いたɭ)
【え】(閉じたɭ)
のうちのいずれかに一本化することにしました。
[ ɭ ]は終声のみの音。必ず閉じた音になります。
開いた音なら[ ɾ ]【ル】になるので。
ㄹにおいて[ ɭ ]と[ ɾ ]は同じ音。
[ ɭ ]は閉じた音なので
【え】
とするのが一見だと筋のような気がしますが
【れ】
のみを呵名に残すことにしました。
パッと見だと
【え】
がなんという音が分からないのです。呵名発音を開発者である自分でも。
また、
鼻音のㄴを
[ n ]【ンヌ】
ではなく
[ n ]【ヌ】
にしたことも影響しています。
ンだと舌は離れません。ヌだと舌が離れます。
とは言え、ハングルのパッチム(終声)はすべて完全閉鎖音。
ヌのつもりで言うが実際には舌が離れないのが【ヌ】であると考えた方が言いやすい、
と何度も発音してみて感じたのです。
どうせㅁは[ m ]【ム】だし。
あ。
ハングルの終声は完全閉鎖音と言いましたけど、
それって、舌先が付いたまま離れないという意味で
[ ɭ ]なら舌の両サイドは開いたままですからね。
舌の両サイドまで閉じたら
側流音ではなく、破裂音になってしまう。
鼻音だって、鼻から息が抜けているわけで閉鎖しきれてないし。
* * * * * * * * * *
<08>激音化
ㅂㅎ→ㅍ、ㄷㅎ→ㅌ、ㄱㅎ→ㅋ、ㅈㅎ→ㅊ
平音の終声ㅂ[ b ]【ブ】、終声ㄷ[ d ]【ド】、終声ㄱ[ g ]【グ】、終声ㅈ[ ʤ ]【ヂ】の後に、初声ㅎ[ h ]【フ】が続くと、
激音のㅍ[ bʰ ]【ブっ】、ㅌ[ dʰ ]【ドっ】、ㅋ[ gʰ ]【グっ】、ㅊ[ ʤʰ ]【ヂっ】になります。
ㅅㅎ→ㅌ
平音の終声ㅅ[ s ]【ス】の後に、初声ㅎ[ h ]【フ】が続くと、
激音のㅌ[ dʰ ]【ドっ】になります。
압 [ ab ]【アブ】 하 [ ha ]【ハ】 압하 →([ ab ha ]【アブ ハ】)→ (아파)[ abʰa ]【アバっア】
앋 [ ad ]【アド】 하 [ ha ]【ハ】 앋하 →([ ad ha ]【アド ハ】)→ (아타) [ adʰa ]【アダっア】
악 [ ag ]【アグ】 하 [ ha ]【ハ】 악하 →([ ag ha ]【アグ ハ】)→ (아카) [ agʰa ]【アガっア】
앚 [ aʤ ]【アヂ】 하 [ ha ]【ハ】 앚하 →([ aʤ ha ]【アヂ ハ】)→ (아차) [ aʤʰa ]【アヂっア】
앗 [ as ]【アス】 하 [ ha ]【ハ】 앗하 →([ as ha ]【アス ハ】)→ (아타) [ adʰa ]【アダっア】
破裂音や破擦音の平音である終声に、初声ㅎが続くと、[ h ]【フ】が[ ʰ ]【っ】になり激音になるのです。
さらに、
摩擦音の平音ㅅ[ s ]【ス】まで激音化してしまいます。
平音ㅅ[ s ]【ス】には対応する激音がないので、
平音ㄷ[ d ]【ド】の激音であるㅌ[ dʰ ]【ドっ】に変化します。大変なのです。
ただ、発音してみるとそこまで不自然ではありません。
破裂音のㄷ[ d ]【ド】と摩擦音のㅅ[ s ]【ス】はいずれも調音点が同じ歯茎音であるからなのです。
ㅎㅂ→ㅍ、ㅎㄷ→ㅌ、ㅎㄱ→ㅋ、ㅎㅈ→ㅊ
終声ㅎ[ ʰ ]【っ】の後に、平音の初声ㅂ[ b ]【ブ】、初声ㄷ[ d ]【ド】、初声ㄱ[ g ]【グ】、初声ㅈ[ ʤ ]【ヂ】が続くと、
激音のㅍ[ bʰ ]【ブっ】、ㅌ[ dʰ ]【ドっ】、ㅋ[ gʰ ]【グっ】、ㅊ[ ʤʰ ]【ヂっ】になります。
ㅎㅅ→ㅆ
終声ㅎ[ ʰ ]【っ】の後に、平音の初声ㅅ[ s ]【ス】が続くと、
濃音のㅆ[ ˭s ]【ッス】になります。
앟 [ aʰ ]【アっ】 바 [ ba ]【バ】 앟바 →([ aʰ ba ]【アっ バ】)→ (아파) [ abʰa ]【アバっア】
앟 [ aʰ ]【アっ】 다 [ da ]【ダ】 앟다 →([ aʰ da ]【アっ ダ】)→ (아타) [ adʰa ]【アダっア】
앟 [ aʰ ]【アっ】 가 [ ga ]【ガ】 앟가 →([ aʰ ga ]【アっ ガ】)→ (아카) [ agʰa ]【アガっア】
앟 [ aʰ ]【アっ】 자 [ ʤa ]【ヂア】 앟자 →([ aʰ ʤa ]【アっ ヂア】)→ (아차) [ aʤʰa ]【アヂっア】
앟 [ aʰ ]【アっ】 사 [ sa ]【サ】 앟사 →([ aʰ sa ]【アっ サ】)→ (아싸) [ a˭sa ]【アッア】
逆にしても同様の現象が起こります。
終声ㅎに、破裂音や破擦音の平音が続くと、[ ʰ ]【っ】と平音がくっつき激音になるのです。
その上、
終声ㅎに、摩擦音の平音ㅅ[ s ]【ス】が続くと、対応する激音がないものの、対応する濃音があるために濃音化してしまいます。濃音ㅆ[ ˭s ]【ッス】。自然な現象なのですが、破裂音の激音ㅌ[ dʰ ]【ドっ】になった上記と対比すると混乱しそうです。理屈よりも自然な舌の動きに従う慣れが大事ですね。
* * * * * * * * * *
<09>ㅎの無音化(Hの無音化)
母音ㅎ母音→母音母音
母音の後に初声ㅎ[ h ]【フ】が続くと、初声ㅎは発音されません。
終声ㅎ[ ʰ ]【っ】の後に母音が続くと(=空の子音である初声ᄋ[ ]【 】が続くと)、終声ㅎは発音されません。
아 [ a ]【ア】 하 [ ha ]【ハ】 아하 →([ a ha ]【ア ハ】)→ (아아)[ aa ]【アア】
앟 [ aʰ ]【アっ】 아 [ a ]【ア】 앟아 →([ aʰ a ]【アっ ア】)→ (아아)[ aa ]【アア】
母音の間にㅎ(h)が挟まれると、ㅎ(h)が消える、ということなのです。
日本語でも頬を「ほほ(hoho)」ではなく「ほお(hoo)」と言う事ができますよね。
古語においての顔「かほ(kaho)」が「かお(kao)」と現代では言うように、
古語においての氷「こほり(kohori)」が「こおり(koori)」と現代では言うように、
言いやすくした結果という点で自然な現象です。
なにより
助詞の『へ』。
「中洲へ行く」を
「中洲『へ』行く」(nakasu he iku)と言う人は現代ではいません。
「中洲『え』行く」(nakasu e iku)と発音します。
これも母音の間にhが挟まれるとhが消える現象です。
日本では平安時代にハ行音がワ行音に変化したハ行転呼がルーツ。
ㄴㅎ→ㄴ
ㅁㅎ→ㅁ
ㅇㅎ→ㅇ
ㄹㅎ→ㄹ
終声ㄴ[ n ]【ヌ】、終声ㅁ[ m ]【ム】、終声ᆼ[ ŋ ]【ンぐ】、終声ㄹ[ ɾ ]【ル】の後に、初声ㅎ[ h ]【フ】が続くと、
初声ㅎは発音されません。
안 [ an ]【アヌ】 하 [ ha ]【ハ】 안하 →([ an ha ]【アヌ ハ】)→((안아)[ an a ]【アヌ ア】)→ (아나)[ ana ]【アナ】
암 [ am ]【アム】 하 [ ha ]【ハ】 암하 →([ am ha ]【アム ハ】)→((암아)[ am a ]【アム ア】)→ (아마)[ ama ]【アマ】
앙 [ aŋ ]【アンぐ】 하 [ ha ]【ハ】 앙하 →([ aŋ ha ]【アンぐ ハ】)→((앙아)[ aŋ a ]【アンぐ ア】)→[ aŋa ]【アンぐア】
알 [ aɭ ]【アれ】 하 [ ha ]【ハ】 알하 →([ aɭ ha ]【アれ ハ】)→((알아)[ aɭ a ]【アれ ア】)→ (아라)[ aɾa ]【アラ】
鼻音であるㄴ[ n ]【ヌ】、ㅁ[ m ]【ム】、ㅇ[ ŋ ]【ンぐ】の直後だと、
ㅎ(h)は発音しづらいのです。
破裂音と違い、鼻から息がもれるのが鼻音なので。
側流音であるㄹ[ ɭ ]【れ】の直後でも、
ㅎ(h)は発音しづらいのです。
破裂音と違い、舌の両サイドから息がもれるのが側流音なので。
* * * * * * * * * *
<10>濃音化
ㅂㅂ→ㅃ、ㄷㅂ→ㅃ、ㄱㅂ→ㅃ
ㅂㄷ→ㄸ、ㄷㄷ→ㄸ、ㄱㄷ→ㄸ
ㅂㄱ→ㄲ、ㄷㄱ→ㄲ、ㄱㄱ→ㄲ
ㅂㅈ→ㅉ、ㄷㅈ→ㅉ、ㄱㅈ→ㅉ
ㅂㅅ→ㅆ、ㄷㅅ→ㅆ、ㄱㅅ→ㅆ
平音の終声ㅂ[ b ]【ブ】、終声ㄷ[ d ]【ド】、終声ㄱ[ g ]【グ】の後に、
初声ㅂ[ b ]【ブ】、初声ㄷ[ d ]【ド】、初声ㄱ[ g ]【グ】、初声ㅈ[ ʤ ]【ヂ】、初声ㅅ[ s ]【ス】が続くと、
濃音のㅃ[ ˭p ]【ップ】、ㄸ[ ˭t ]【ット】、ㄲ[ ˭k ]【ック】、ㅉ[ ˭ʧ ]【ッチ】、ㅆ[ ˭s ]【ッス】になります。
압 [ ab ]【アブ】 바 [ ba ]【バ】 압바 →([ ab ba ]【アブ バ】)→([ abba ]【アッバ】)→ (아빠)[ a˭pa ]【アッパ】
앋 [ ad ]【アド】 다 [ da ]【ダ】 앋다 →([ ad da ]【アド ダ】)→([ adda ]【アッダ】)→ (아따)[ a˭ta ]【アッタ】
악 [ ag ]【アグ】 가 [ ga ]【ガ】 악가 →([ ag ga ]【アグ ガ】)→([ agga ]【アッガ】)→ (아까)[ a˭ka ]【アッカ】
以下は
終声ㅂ[ b ]【ブ】の例。
終声ㄷ[ d ]【ド】、終声ㄱ[ g ]【グ】でも同様。
압 [ ab ]【アブ】 바 [ ba ]【バ】 압바 →([ ab ba ]【アブ バ】)→([ abba ]【アッバ】)→ (아빠)[ a˭pa ]【アッパ】
압 [ ab ]【アブ】 다 [ da ]【ダ】 압다 →([ ab da ]【アブ ダ】)→([ abda ]【アブダ】)→ (아따)[ a˭ta ]【アッタ】
압 [ ab ]【アブ】 가 [ ga ]【ガ】 압가 →([ ab ga ]【アブ ガ】)→([ abga ]【アブガ】)→ (아까)[ a˭ka ]【アッカ】
압 [ ab ]【アブ】 자 [ ʤa ]【ヂア】 압자 →([ ab ʤa ]【アブ ヂア】)→([ abʤa ]【アブヂア】)→ (아짜)[ a˭ʧa ]【アッチア】
압 [ ab ]【アブ】 사 [ sa ]【サ】 압사 →([ ab sa ]【アブ サ】)→([ absa ]【アブサ】)→ (아싸)[ a˭sa ]【アッサ】
[ ˭ ]【ッ】に関して
IPA(国際音声記号)の[ ˭ ]は
日本語の促音「ッ」に対応する記号として使用しています。
[ ˭ ]の呵名発音記号は【ッ】。
ローマ字だと
発表(はっぴょう)「happyou」のpp
発展(はってん)「hatten」のtt
発火(はっか)「hakka」のkk
のように、同じアルファベットを並べます。
ですので、当然のこととして、
ハングルでも同じ子音が並べば、
日本語で言うところの促音、
ハングル韓国語で言うところの濃音になります。
ただし、ハングル韓国語の濃音は更に展開していきます。
同じ音同士の破裂音だけでなく
異なる音の破裂音でも濃音になります。
終声ㅂ[ b ]【ブ】、終声ㄷ[ d ]【ド】、終声ㄱ[ g ]【グ】と
初声ㅂ[ b ]【ブ】、初声ㄷ[ d ]【ド】、初声ㄱ[ g ]【グ】の
総当たり。
また、破裂音の終声の後ろが、破裂音だけでなく破擦音、摩擦音の初声でも濃音になります。
破裂音の
初声ㅂ[ b ]【ブ】、初声ㄷ[ d ]【ド】、初声ㄱ[ g ]【グ】
だけでなく、
破擦音の
初声ㅈ[ ʤ ]【ヂ】、
摩擦音の
初声ㅅ[ s ]【ス】
でも濃音になるということです。
私は
濃音のIPA(国際音声記号)を
[ ˭ ]
としています。
従来は
[ ˀ ]
を使用することが多かったのです。
なんだかクエスチョンマークっぽくありません?
[ ˀ ]がハテナマークっぽかったので
イコールマークっぽい[ ˭ ]にしたのです。
pp、tt、kkと2つ同じ記号を続けるのが促音、濃音ですので。
そもそも[ ˀ ]は声門破裂音。
声門を完全に閉じた後、呼気とともに急に声門を開いたときに出る音。
端的に言えば咳の音です。
そして促音としても濃音としても声門破裂音[ ˀ ]は生じないことがわかっています。
早速(さっそく)を[ saˀsoku ]とはあなたも発音しないですよね。
[ ˀ ]と記号が振られた場所では、声門破裂音ではなく、
単に[ s ]の舌のまま子音が待機されている状態です。
[ sassoku ]でいいのです。
ただ、濃音を表す場合、ss、pp、tt、kk、ʧʧと記号がバラバラになるので
濃音を˭s、˭p、˭t、˭k、˭ʧと統一して表す[ ˭ ]をあてがったのです。
[ ˭ ]は本来は無気音記号。
帯気音(有気音)記号である[ ʰ ]と対比をなす記号ですが
通常では無気音を表すために[ ˭ ]を付けることはありません。
激音[ pʰ ]に対比する平音は[ p˭ ]と表現できますが、
ただただ煩雑なだけなので平音[ p˭ ]ではなく平音[ p ]と表記します。
ややこしくしてしまいましたね。平音[ p˭ ]のことは忘れてください。
[ ˭ ]は濃音の記号です。
[ ˭p ]、[ ˭t ]、[ ˭k ]、[ ˭ʧ ]、[ ˭s ]が濃音です。
記号で重要なのは定義を限定し明確にすること。
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<11>流音化
ㄹㄴ→ㄹㄹ
ㄴㄹ→ㄹㄹ
終声ㄹ[ ɭ ]【れ】の後に、初声ㄴ[ n ]【ヌ】が続くと、ㄹㄹ[ ɭɭ ]【れル】になります。
終声ㄴ[ n ]【ヌ】の後に、初声ㄹ[ ɾ ]【れ】が続くと、ㄹㄹ[ ɭɾ ]【れル】になります。
알 [ aɭ ]【アれ】 나 [ na ]【ナ】 알나 →([ aɭ na ]【アれ ナ】)→((알라)[ aɭɭa ]【アれら】)→ [ aɭɾa ]【アれラ】
안 [ an ]【アヌ】 라 [ ɾa ]【ラ】 안라 →([ an ɾa ]【アヌ ラ】)→ (알라)[ aɭɾa ]【アれラ】
ㄴ[ n ]【ヌ】と
ㄹ[ ɭ ]【れ】の
両立は難しいのです。
片や舌端を隙間なく歯茎に付けて息が漏れないようにしつつ息を少し鼻から漏らす鼻音のㄴ[ n ]【ヌ】。
片や舌先だけ歯茎の奥の硬口蓋に付けて舌の両サイドを空け息が漏れるようにする側流音のㄹ[ ɭ ]【れ】。
近い音であるもののメカニズムがそれぞれ
やや複雑なので隣接すると異なる音としてスムーズに移行できない。
だったら同じ音にしてしまえ、と。
ㄴ[ n ]【ヌ】ではなく
ㄹ[ ɭ ]【れ】の音にそろえるということは、
ㄴ[ n ]【ヌ】よりも
ㄹ[ ɭ ]【れ】の方が
いいやすいということ。
ㄹは
[ ɭ ]でもあり
[ ɾ ]でもある。
呵名発音記号の表現の問題として
ㄹㄴをㄹㄹとする際、
[ ɭɭ ]とするか
[ ɭɾ ]とするかが
悩みどころ。
[ ɭɭ ]として
[ ɭɭa ]なら【れら】
とすることも考えましたが、
舌が硬口蓋にしっかりと触れていることは
最初の方の[ ɭ ]で表現できているので
後ろの母音とくっつくのは[ ɭ ]ではなく[ ɾ ]のみとすることとしました。
[ ɭɾa ]【れラ】のように。
少なくとも私の場合は、その方が認識しやすいし言いやすかった。
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<12>鼻音化
ㅂㄴ→ㅁㄴ、ㅂㅁ→ㅁㅁ
ㄷㄴ→ㄴㄴ、ㄷㅁ→ㄴㅁ
ㄱㄴ→ㅇㄴ、ㄱㅁ→ㅇㅁ
終声ㅂ[ b ]【ブ】、終声ㄷ[ d ]【ド】、終声ㄱ[ g ]【グ】の後に、
初声ㄴ[ n ]【ヌ】、初声ㅁ[ m ]【ム】が続くと、
鼻音ㅁㄴ[ mn ]【ムヌ】、鼻音ㅁㅁ[ mm ]【ンム】、ㄴㄴ[ nn ]【ンヌ】、ㄴㅁ[ nm ]【ヌム】、ᆼㄴ[ ŋn ]【ンぐヌ】、ᆼㅁ[ ŋm ]【ンぐム】になります。
압 [ ab ]【アブ】 나 [ na ]【ナ】 압나 →([ ab na ]【アブ ナ】)→ (암나)[ amna ]【アムナ】
압 [ ab ]【アブ】 마 [ ma ]【マ】 압마 →([ ab ma ]【アブ マ】)→([ amma ]【アムマ】)→ (암마)[ amma ]【アンマ】
앋 [ ad ]【アド】 나 [ na ]【ナ】 앋나 →([ ad na ]【アド ナ】)→([ anna ]【アヌナ】)→ (안나)[ anna ]【アンナ】
앋 [ ad ]【アド】 마 [ ma ]【マ】 앋마 →([ ad ma ]【アド マ】)→ (안마)[ anma ]【アヌマ】
악 [ ag ]【アグ】 나 [ na ]【ナ】 악나 →([ ag na ]【アグ ナ】)→ (앙나)[ aŋna ]【アンぐナ】
악 [ ag ]【アグ】 마 [ ma ]【マ】 악마 →([ ag ma ]【アグ マ】)→ (앙마)[ aŋma ]【アンぐマ】
破裂音の後に鼻音が来ると
どうしても破裂音は必ず鼻音になります。
パッチムが完全閉鎖音であるためです。
子音の破裂音が破裂音としての音を出すには
息をすべて口から出して破裂を成就しなければいけませんが
鼻から息が抜けている時点でもうダメです。
風船を破裂するつもりが空気漏れてる。
破裂音のみなさま、
あなたがたは破裂音のつもりでしょうが
本当に申し上げにくいのですが
あなたは既に鼻音です。
ㅁㄹ→ㅁㄴ
ㅇㄹ→ㅇㄴ
終声ㅁ[ m ]【ム】、終声ᆼ[ ŋ ]【ンぐ】の後に、
初声ㄹ[ ɾ ]【ル】が続くと、
鼻音ㅁㄴ[ mn ]【ムヌ】、鼻音ᆼㄴ[ ŋn ]【ンぐヌ】になります。
암 [ am ]【アム】 라 [ ɾa ]【ラ】 암라 →([ am ɾa ]【アム ラ】)→ (암나)[ amna ]【アムナ】
앙 [ aŋ ]【アンぐ】 라 [ ɾa ]【ラ】 앙라 →([ aŋ ɾa ]【アンぐ ラ】)→ (앙나)[ aŋna ]【アンぐナ】
側流音は舌の両サイドから息を通す子音ですが
直前に鼻音があると
まあ言いにくいこと。
そこで
初声ㄹ[ ɾ ]【ル】は
言いやすい場合以外は
鼻音で言ってよし
となっているのです。
言いやすい場合とは
直前が
終声ㄹ[ ɭ ]【れ】
の場合と
終声ㄴ[ n ]【ヌ】
の場合のみ。
終声ㄹ[ ɭ ]【れ】と
初声ㄹ[ ɾ ]【ル】は
そもそも同じ音なので連続で言えて当然。
終声ㄴ[ n ]【ヌ】と
初声ㄹ[ ɾ ]【ル】は
いずれも歯茎音で調音点が同じなので言いにくくないのです。
ㅂㄹ→ㅂㄴ→ㅁㄴ
ㄷㄹ→ㄷㄴ→ㄴㄴ
ㄱㄹ→ㄱㄴ→ㅇㄴ
終声ㅂ[ b ]【ブ】、終声ㄷ[ d ]【ド】、終声ㄱ[ g ]【グ】の後に、
初声ㄹ[ ɾ ]【ル】が続くと、
鼻音ㅁㄴ[ mn ]【ムヌ】、ㄴㄴ[ nn ]【ンヌ】、ᆼㄴ[ ŋn ]【ンぐヌ】になります。
압 [ ab ]【アブ】 라 [ ɾa ]【ラ】 압라 →([ ab ɾa ]【アブ ラ】)→([ ab na ]【アブ ナ】)→ (암나)[ amna ]【アムナ】
앋 [ ad ]【アド】 라 [ ɾa ]【ラ】 앋라 →([ ad ɾa ]【アド ラ】)→([ ad na ]【アド ナ】)→([ anna ]【アヌナ】)→ (안나)[ anna ]【アンナ】
악 [ ag ]【アグ】 라 [ ɾa ]【ラ】 악라 →([ ag ɾa ]【アグ ラ】)→([ ag na ]【アグ ナ】)→ (앙나)[ aŋna ]【アンぐナ】
初声ㄹ[ ɾ ]【ル】は
言いやすい場合以外は
鼻音で言ってよし
ということは
終声が破裂音でも初声ㄹは言いにくい
ということなのですね。
ただ、
そのために
ドミノ倒し現象が起こり
最難関のハングル発音となっております。
というのも
鼻音化の最初の説明で申し上げた通り
破裂音の後に鼻音が来ると
どうしても破裂音は必ず鼻音になります。
よって
初声ㄹ[ ɾ ]【ル】の鼻音化に伴い
終声の破裂音も鼻音化。
それもこれもすべては言いやすくするため。。
もう誰も原形をとどめていない。。
* * * * * * * * * *
<13>口蓋音化
ㄷ이→지
ㅌ이→치
終声ㄷ[ d ]【ド】、終声ㅌ[ dʰ ]【ドっ】の後に、이[ i ]【イ】が続くと、
지[ ʤi ]【ヂイ】、치[ ʤʰi ]【ヂっイ】になります。
앋 [ ad ]【アド】 이 [ i ]【イ】 앋이 →([ ad i ]【アド イ】)→([ adi ]【アデイ】)→ (아지)[ aʤi ]【アヂイ】
앝 [ adʰ ]【アドっ】 이 [ i ]【イ】 앝이 →([ adʰ i ]【アドっ イ】)→([ adʰi ]【アデっイ】)→ (아치)[ aʤʰi ]【アヂっイ】
これは日本語ではおなじみです。
dの行を子音dとして言うと
ダ・ディ・ドゥ・デ・ド
というのが正しいのですが
日本語のダ行は
ダ・ヂ・ヅ・デ・ド
ですよね。
この「ディ」が「ヂ」になるのが
口蓋音化という現象です。
[ da ]【ダ】、[ di ]【デイ】、[ du ]【ドウ】、[ de ]【デ】、[ do ]【ド】
[ ʤa ]【ヂア】、[ ʤi ]【ヂイ】、[ ʤu ]【ヂウ】、[ ʤe ]【ヂエ】、[ ʤo ]【ヂオ】
[ d ]を[ ʤ ]で言うのが口蓋音化です。
[ d ]は、舌端が歯茎に付く音です。
[ ʤ ]も、舌端が歯茎に付く音なのですが、[ d ]と比べて舌全体が硬口蓋に近づいています。
硬口蓋に近づくので口蓋音化。
なお、
siに関しては
[ si ]【スイ】
[ ʃi ]【シ】
と区別するのが厳密な表記なのですが
ハングル韓国語の呵名発音においては
[ si ]【シ】
の表記としています。
というのも
ハングルにはそもそもスィという音がありません。
[ sa ][ ʃi ][ su ][ se ][ so ]とイ段だけ子音が変わるのも気持ち悪かったですし
呵名発音記号は日本人向けの発音記号ですので
日本人は訓令式ローマ字で慣れていることですし
[ sa ]【サ】、[ si ]【シ】、[ su ]【ス】、[ se ]【セ】、[ so ]【ソ】
とした方が
いざスピーチに利用する際、わずらわしくなくていいかなあ、と。
[ si ]と[ ʃi ]に関しても口蓋音化の現象ですので
ここで説明いたしました。
* * * * * * * * * *
<14>ㄴ挿入(N挿入)
ㄴ이→ㄴ니
ㄴ야→ㄴ냐、ㄴ여→ㄴ녀、ㄴ요→ㄴ뇨、ㄴ유→ㄴ뉴、ㄴ예→ㄴ녜、ㄴ얘→ㄴ냬
終声ㄴ[ n ]【ヌ】の後に、이[ i ]【イ】が続くと、
ㄴ니[ nni ]【ンニ】になります。
終声ㄴ[ n ]【ヌ】の後に、야[ ja ]【イヤ】、여[ jʌ ]【イヤ】、요[ jo ]【イヨ】、유[ ju ]【イユ】、예[ je ]【イエ】、얘[ jɛ ]【イエ】が続くと、
ㄴ냐[ nnja ]【ンニヤ】、ㄴ녀[ nnjʌ ]【ンニヤ】、ㄴ뇨[ nnjo ]【ンニヨ】、ㄴ뉴[ nnju ]【ンニユ】、ㄴ녜[ nnje ]【ンニエ】、ㄴ냬[ nnjɛ ]【ンニエ】になります。
안 [ an ]【アヌ】 이 [ i ]【イ】 안이 →([ an i ]【アヌ イ】)→([ an ni ]【アヌ ニ】)→ (안니)[ anni ]【アンニ】
안 [ an ]【アヌ】 야 [ ja ]【イヤ】 안야 →([ an ja ]【アヌ イヤ】)→([ an nja ]【アヌ ニヤ】)→ (안냐)[ annja ]【アンニヤ】
안 [ an ]【アヌ】 여 [ jʌ ]【イヤ】 안여 →([ an jʌ ]【アヌ イヤ】)→([ an njʌ ]【アヌ ニヤ】)→ (안녀)[ annjʌ ]【アンニヤ】
안 [ an ]【アヌ】 요 [ jo ]【イヨ】 안요 →([ an jo ]【アヌ イヨ】)→([ an njo ]【アヌ ニヨ】)→ (안뇨)[ annjo ]【アンニヨ】
안 [ an ]【アヌ】 유 [ ju ]【イユ】 안유 →([ an ju ]【アヌ イユ】)→([ an nju ]【アヌ ニユ】)→ (안뉴)[ annju ]【アンニユ】
안 [ an ]【アヌ】 예 [ je ]【イエ】 안예 →([ an je ]【アヌ イエ】)→([ an nje ]【アヌ ニエ】)→ (안녜)[ annje ]【アンニエ】
안 [ an ]【アヌ】 얘 [ jɛ ]【イエ】 안얘 →([ an jɛ ]【アヌ イエ】)→([ an njɛ ]【アヌ ニエ】)→ (안냬)[ annjɛ ]【アンニエ】
このㄴ挿入(N挿入)は
連音化として説明できそうなところですが
ハングルとして考えたとき
やはり特殊な変化であると言わざるを得ないわけです。
いわく、
終声ㄴ[ n ]【ヌ】の後に、야[ ja ]【イヤ】が続くと、
ㄴ냐[ nnja ]【ニヤ】になると考えるのが連音化です。
そうではなく
終声ㄴ[ n ]【ヌ】の後に、야[ ja ]【イヤ】が続くと、
ㄴ냐[ nnja ]【ンニヤ】になるというのがㄴ挿入(N挿入)なのです。
日本語では観音が「かんおん」ではなく「かんのん」になる音声現象がまさしくN挿入。
ハングルでは
nとyaが合わさるとニャではなくンニャになる。
nとiが合わさるとニではなくンニになる。
nがnnになる、ということなのです。
さしあたり
英語で考えてみましょう。
hammer
という英単語があります。
金槌、ハンマーですね。
ハンマーではないのです。
ハマーなのです。
hammer の 英語 の発音:Forvo.com
hammer [ hæməɚ ] 【ヘアマ~ア】
ですよね。
M.C.ハマーのことを
M.C.ハンマーとは言わないですよね。
MC Hammerなので。
もちろんご存じですよね。
1990年
「U Can’t Touch This」
が世界中で大流行。
音楽の歴史の中心がロックからラップに代わることとなった
音楽史上最大の事件だったのです。
MC Hammer「U Can’t Touch This」(1990) https://www.youtube.com/watch?v=otCpCn0l4Wo
mmとエムが2度連なっても英語では1度しか読みませんが
日本語では1度か2度か揺らぎがあります。
swimmingを
スウィミングと言いますがスウィンミングともスウィムミングとも言いませんよね。
entertainmentなら
エンターテイメントともエンターテインメントとも読みます。
mmと同じく鼻音のnnの英単語の例ならば。
ポップスの女王、Madonna。
Madonna の 英語 の発音:Forvo.com
Madonna [ mədɑnə ] 【マドアナ】
マドンナではなく、マドナです。英語だと。
イタリア語だとマドンナと言うのですね。日本語と同じです。
世界のザ・ポップスター。
「Like A Virgin」(1984) https://www.youtube.com/watch?v=s__rX_WL100
「Material Girl」(1984) https://www.youtube.com/watch?v=6p-lDYPR2P8
「La Isla Bonita」(1986) https://www.youtube.com/watch?v=zpzdgmqIHOQ
舞台『千と千尋の神隠し』イギリス公演の際、
環奈ちゃんもイギリスではカンナではなくカナと呼ばれていたのではないでしょうか。
kannaを英国人が自然に読むと、カナ。
もしそうならN挿入ではなくN脱落とでも呼べる言語現象です。
カナだと萌音ちゃんですね。『ちはやふる』でのかなちゃん(大江奏)と『溺れるナイフ』でのカナちゃん(松永カナ)。
Nが挿入されたり脱落したり。いろんな言語で生じる音声現象なのです。
* * * * * * * * * *
<15>의の発音(ィィの発音)
의 [ wɪ ]【ウイ】 文頭のとき
의 [ jɪ ]【イイ】 文中のとき
의 [ e ]【エ】 助詞のとき
ᅴというハングルの母音があります。
ᅴ [ jɪ ]【イイ】
と発音します。
この母音の中声を使うハングルは全部で19種類。
긔 [ gjɪ ]【ギイ】
끠 [ ˭kjɪ ]【ッキイ】
늬 [ njɪ ]【ニイ】
듸 [ djɪ ]【デイイ】
띄 [ ˭tjɪ ]【ッテイイ】
릐 [ ɾjɪ ]【リイ】
믜 [ mjɪ ]【ミイ】
븨 [ bjɪ ]【ビイ】
쁴 [ ˭pjɪ ]【ッピイ】
싀 [ sjɪ ]【シイ】
씌 [ ˭sjɪ ]【ッシイ】
의 [ jɪ ]【イイ】
즤 [ ʤjɪ ]【ヂイ】
쯰 [ ˭ʧjɪ ]【ッチイ】
츼 [ ʤʰjɪ ]【ヂっイイ】
킈 [ gʰjɪ ]【ギっイイ】
틔 [ dʰjɪ ]【デっイイ】
픠 [ bʰjɪ ]【ビっイイ】
희 [ hjɪ ]【ヒイ】
そういうことなのですが
このうち
子音が空(くう)の
의 [ jɪ ]【イイ】
に関しては
文中の時のみの発音で、
文頭の時は
의 [ wɪ ]【ウイ】
となります。
회의(会議)はこのように発音します。
회의 [ hwe jɪ ]【フエ イイ】
의사 の 韓国語 の発音:Forvo.com
의사(医者)はこのように発音します。
의사 [ wɪ sa ]【ウイ サ】
의사 の 韓国語 の発音:Forvo.com
さらに
助詞の의(の)の場合は
의 [ e ]【エ】
と発音します。
에 [ e ]【エ】の発音になるわけです。
日本語で助詞の「へ」を「え」と発音しているのと同様の発音弛緩現象です。
前提として知っておいていただきたいこととして、
基本的に助詞の「の」はハングル韓国語においては省略されます。
한국 문화(韓国文化)
と表現するわけです。
한국의 문화(韓国の文化)
という場合、相当強く「の」を強調してします。
日本の、ではなく、韓国の文化!
といった対比の文脈ですね。
比喩表現では「の」を省略しません。
사랑의 불시착(愛の不時着)
という韓国の名作ドラマがありますが、
愛のような不時着
の隠喩(メタファー)です。
このような比喩も、
「の」を省略したくない強調表現です。
このような
強調された助詞の의(の)は
의 [ e ]【エ】
と発音しているのです。
愛の不時着
사랑의 불시착 [ sa ɾaŋ e ][ puɭ si ʤʰag ]【サ ランぐ エ】【プれ シ ヂっアグ】
사랑의불시착 の 韓国語 の発音:Forvo.com
* * * * * * * * * *
<16>ᅢエとᅦェの同化
ᅢ[ ɛ ]【エ】=ᅦ[ e ]【エ】
本サイトでは
ᅢ[ ɛ ]【エ】とᅦ[ e ]【エ】のように区別しています。
すなわち
ᅢ[ ɛ ]【エ】は、あごを開いたエであり、
ᅦ[ e ]【エ】は、あごを閉じたエである、と。
まるでポルトガル語のようですね。
ところが韓国では現在、この2つの母音の区別をしなくなってしまったのです。
最近まで区別していたらしいのですが。
韓国も母音はシンプルに単純化しましょう、と。
ですので実際は
ᅢ[ ɛ ]【エ】もᅦ[ e ]【エ】も
[ ɛ ]【エ】のつもりで発音してください。
ェが小さくても神経質になる必要がありません。
二重母音だと3つのハングルが同じ音であるという事態に。
ᅫ[ wɛ ]【ウエ】とᅬ[ we ]【ウエ】とᅰ[ weː ]【ウエー】は
いずれも
[ wɛ ]【ウエ】
と読んでください。
そもそも苦肉の策でむりやり区別させたのです。
そもそもハングルでは長音と短音の区別はないのですから。
ゆっくり言いたくなったら長音記号をつけてください。。
下の母音発音表を見ると
何と何の発音が同じか分かると思いますが
他のもちゃんと明示すると
ᅤ[ jɛ ]【イエ】と
ᅨ[ je ]【イエ】が
同じ[ je ]【イエ】、
旧ᅧ[ jɔ ]【イオ】とᅭ[ jo ]【イオ】が
同じ[ jɔ ]【イオ】、
ᅱ[ wi ]【ウイ】と
의のᅴ[ wɪ ]【ウイ】が
同じ[ wi ]【ウイ】
となります。
コンバーター出力の時点で同じにすることも考えたのです。
ただ、それよりも
ハングルの記号としての違いを重視したのですね。
なんでこれとこれは違いがあるの?
それはもともと違っていたからで
今では同じ音として扱っているんだよ、と。
英語は今ではスペルと発音が乖離していたのですが
かつてはローマ字のようにそのまま読めたのだよ。
nameはネイムではなく、かつてはナメ。
大母音推移、という言葉で調べると詳しく分かります。
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<17>ᅥの母音推移(ᅥオからᅥァに)
ᅥ[ ʌ ]【ア】←ᅥ[ ɔ ]【オ】
中声ᅥという母音。
本サイトでは
ᅥ[ ʌ ]【ア】
としています。
ただ、かつては
ᅥ[ ɔ ]【オ】
だったのです。そして、今なお大勢こちらの方々がみえると。
머 の 韓国語 の発音:Forvo.com
러 の 韓国語 の発音:Forvo.com
머[ mʌ ]【マ】
러[ ɾʌ ]【ラ】
マ、ラ
と聞こえますよね。
거 の 韓国語 の発音:Forvo.com
너 の 韓国語 の発音:Forvo.com
거[ kʌ ]【カ】
너[ nʌ ]【ラ】
ではなく
거[ kɔ ]【コ】
너[ nɔ ]【ノ】
コ、ノ
と聞こえますよね。
어 の 韓国語 の発音:Forvo.com
서 の 韓国語 の発音:Forvo.com
어[ ʌ ]【ア】
の人もいれば
어[ ɔ ]【オ】
の人もいます。
서[ sʌ ]【サ】
の人もいれば
서[ sɔ ]【ソ】
の人もいます。
アかオか人による。
サかソか人による。
どうしたものですかね。
もう、そういうものとして、受け入れるしかないわけです。
現実として、こういう状況なのですから。
推移の最中とはこういうことです。
かつていろいろな国で起こっていた母音推移が
まさに今起こっている国が韓国である、と。
同時代に生きることができることを感謝しましょう。
なぜこういうことが起こっているのか。
IPA(国際音声記号)が原因だと私は踏んでいます。
国際音声記号 — Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/国際音声記号
ウィキペディアの国際音声記号の中に
母音表があります。
英語でもおなじみ
[ ʌ ]【ア】
を探してみましょう。
後舌の半広の非円唇のところに
[ ʌ ]
があります。
私は英語のコンバーターで
[ ʌ ]【ア】
としています。
後舌の半広なら
オ
を使った記号にしなければいけないはずです。
ところが。
私の方が正しいのですよ。
Open-mid back unrounded vowel — Wikipedia
https://en.wikipedia.org/wiki/Open-mid_back_unrounded_vowel
[ ʌ ]を説明するウィキペディアに英語でこう書いてあります。
Before World War II, the /ʌ/ of Received Pronunciation was phonetically close to a back vowel [ʌ], which has since shifted forward towards [ɐ] (a near-open central unrounded vowel).
— Jones, Daniel (1972), pp. 86–88. An Outline of English Phonetics (9th ed.). Cambridge: W. Heffer & Sons.
日本語に訳します。
第二次世界大戦前、
標準発音の/ʌ/は、
音声的には後舌母音[ʌ]に近かったが、
その後、[ɐ](少しだけ開いた中舌非円唇母音)に向かって前進した。
— ジョーンズ、ダニエル (1972)、86頁-88頁。『英語音声学の概要』(第9版)。ケンブリッジ大学出版:W.ヘファー&サンズ有限会社。
そうなんです。
英語の
[ ʌ ]【ア】
は、できることなら、今では
[ ɐ ]【ア】
と表記すべきところなんです。
[ ʌ ]の本来の音色は「オ」なので。
ただ、辞書を始め、もう印刷して流通してしまったので、今さら
[ ɐ ]に変更することはできない、と。お金かかるし。
母音は口内で均等に分布する
とする大原則さえ知っていれば、
聞いたまま、
【ア】
と英語ではと言っていると確信が持てるはずなのですが。
この母音表は
国際音声記号における原則です。
原則であるからこそ
運用は異なることがあるわけです。
そして
アメリカの影響を強く受けている
現代社会の韓国は
アメリカの発音と運命を共にしたのではないか、と。
もともと
ハングルのᅥは
[ ɔ ]【オ】であった。
実際に口に出してみると分かりますが
[ ɔ ]は口をだいぶ広げているので、
円唇とはいうものの、唇はほとんど平らなのです。
そもそも円唇[ ɔ ]は、非円唇[ ʌ ]とほぼ違いがない音。
ならば
ハングルのᅥを[ ʌ ]と表記しても差しさわりがない。
ただ、実際に英語で発音されているのは[ ʌ ]【ア】なので、
ᅥは
[ ɔ ]【オ】でも
[ ʌ ]【ア】でも
発音できるようになったと。
なにより
英語特有の発音[ ʌ ]【ア】をハングルでも表記できるのは都合がいい。
韓国人が世界中で活躍するという野心のために。
ハングルは、世界中の発音を表記できるのだ、と。
こうして
ᅥ[ ʌ ]【ア】
の発音が定着し、世界のハングルが誕生しました。
ᅥ[ ɔ ]【オ】
の発音が廃れたとしても問題ありません。
ᅩ[ o ]【オ】というハングルもあるので
「オ」の音はカバーできる。
母音をシンプルに、という方針の下でなら有効です。
一つの仮説として成り立ちます。
証明しようがないのかもしれませんが。
人々の大きな動機が元になっている自然発生は
意思が明文化される前に雪崩をうって推移するものですから。
ややこしい話を
さらに付け加えると
第二次世界大戦の前までは
国際音声学会において
母音表に中舌の概念がなかったのですよ。
戦前の当時、
[ a ]前舌広舌として
[ ʌ ]後舌半広舌として分類。
今では
[ a ]中舌広舌として
[ ʌ ]中舌半広舌として。
そもそも
戦前も
[ ʌ ]は今と同じ中舌半広舌だったのかもしれません。
戦前に中舌半広舌[ ɐ ]の記号なぞありませんでしたし。
当時の分類の解像度が低かったことで
今現在まで混乱と誤解の影響が尾を引いているのです。
今なお教育現場では
[ ʌ ]後舌半広舌の非円唇という不可思議な場所の母音のせいでややこしいので
そもそも面倒くさいことは教えないとなっています。
実際の英語の発音はシンプルなんです。
あごを閉じた小さいアが[ ʌ ]【ア】で
あごを開いた大きいアが[ a ]【ア】。
教育現場以外で英語の発音を実践した人はみんなマスターしている。
発音記号を学ばない方がちゃんと英語をしゃべれる、と。
大元を作る人は責任重大だというのは
こういうことなのです。
一度ルールとして印刷したら
簡単に変えることはできなくなる。
間違ったことが間違ったまま印刷されると正しい方を誰も信じなくなる。
後世の人が責任をもって修正できるならいいのですけど。
ならば私が責任を負いましょう。
そしてそれは逆のことでもある。
本サイトにおいて
ᅬ[ we ]【ウエ】と
ᅰ[ weː ]【ウエー】に
分けてしまった。
本当なら
ᅬもᅰも[ we ]【ウエ】にしなけらばならなかったはずなのに。
ゆくゆく未来には
本サイトを使って韓国ハングル語を教える人も出てくると思うのです。
その教師の役を務める人がここを必ず読んでいますように。
ハングル韓国語コンバーターに関しては
これが正しい発音である、
ではなく、ここをスタートとして実際の正しい発音へとカスタマイズする道具である。
それこそがハングル韓国語コンバーターの肝。
ところが
単純なところだけ見て頭ごなしに教えるものなのです、教師って。
難しい話は避けるから。
あなたが教師であるにせよ、教師でないにせよ、
正しさをゆだねる点において
ここを読んでくれた人に託すしかない。
正しさとは責任を自認する者のリレー。
そして正しさは更新される。
まだまだ更新されるべき。
あれ?
証明しようがない
と言ったけど
証明できるのでは。
第二次世界大戦前、
標準発音の/ʌ/は、
音声的には後舌母音[ʌ]に近かったが、
その後、[ɐ](少しだけ開いた中舌非円唇母音)に向かって前進した。
このウィキペディアに記述された英語についての内容が本当かどうかなら
証明できる。
というのも
戦前の映画が今に残っていますから。
『The Wizard of Oz』(オズの魔法使)1939年
ドロシーが案山子に出会うシーンより5秒間です。
1日中ここにぶら下がってるんだからね。
You see, it’s very tedious being stuck up here all day long with a pole up your back.
【ユー スイー イツ ヴエウリー テイーデイアス ビーインぐ スタク アプ ヒ~ア オーう デイ ろオーンぐ ウイず ア ポウう アプ ユ~ア ベアク】
[ juː siː ɪts veriː tiːdɪəs biːɪŋ stʌk ʌp hɪɚ ɔːl deɪ lɔːŋ wɪð ə poʊl ʌp jʊɚ bæk ]
ここで発せられている[ʌ]の発音を確認すればいいのです。
より判断をはっきりさせるために
この単語の発音を見ていきます。
London
【らアンドンヌ】
[ lʌndən ]
London の 英語 の発音:Forvo.com
普通はuのスペルを[ ʌ ]で発音しますが、
Londonのようにoのスペルを[ ʌ ]で発音する際、
後舌[ ɔ ]の非円唇で発音しがちなのです。
Forvoイギリス英語の一番上doraboraさんは
後舌[ ɔ ]の非円唇である
いわゆる古い[ ʌ ]【オ】
で発音しています。
Forvoアメリカ英語の一番上SeanMauchさんは
中舌[ ɐ ]のことである
いわゆる新しい[ ʌ ]【ア】
で発音しています。
さて。
『オズの魔法使い』のこのシーンは
どっちで言っているでしょうか。
being stuck up here all day long
【ビーインぐ スタク アプ ヒ~ア オーう デイ ろオーンぐ】
[ biːɪŋ stʌk ʌp hɪɚ ɔːl deɪ lɔːŋ ]
ほらっ!ほらっ!
中舌[ ɐ ]で言ってる!
古い[ ʌ ]も新しい[ ʌ ]も何も
第二次世界大戦前から
スペルのuは中舌[ ɐ ]で発音していたんだよ!
The Wizard of Ozの公開は
1939年8月25日。
第二次世界大戦が始まったのは
1939年9月1日。
わずか7日前のことだったんだな。。
ウィキペディアに記述された内容について
検証できました。
第二次世界大戦前、標準発音の/ʌ/は、
後舌母音[ʌ]だったが、
その後、中舌母音[ɐ]に向かって前進した。
ではなく
第二次世界大戦前、標準発音の/ʌ/は、
後舌母音[ʌ]だったが、
その後、中舌母音[ɐ]に向かって前進した、ように見える。
が正しい。
そもそも第二次世界大戦前も現在も一貫して中舌母音[ɐ]で発音されている。
しかし、
戦前には中舌母音[ɐ]がまだ母音表になかった。
戦後、
中舌母音[ɐ]が母音表に組み込まれたことで
英語のスペルuの適切な発音記号が生まれた。
戦前は最寄りの後舌母音[ʌ]で解釈されていたのが
戦後は新設の中舌母音[ɐ]で説明可能になった。
前進した、ように「見える」、のはそのため。
にもかかわらず、
辞書が出版され定着してしまったので
英語のスペルuの発音記号が[ɐ]に修正されることなく、
英語のスペルuの発音記号は[ʌ]のままとして残り続け、
英語のスペルuの発音記号[ʌ]は後舌母音であるという誤解が解かれないままでいる。
そもそも
英語のスペルoの発音記号[ʌ]は後舌母音になりえます。
その事実を免罪符として英語辞書は[ʌ]を[ɐ]に直さない。
結果、[ʌ]は中舌母音と後舌母音のダブルスタンダード、二枚舌になってしまった。
二枚舌。発音なだけに。
こりゃどうも、うまいねこりゃ。
そして
ハングルの
ᅥは
中舌母音[ ʌ ]【ア】
後舌母音[ ɔ ]【オ】
のどちらでもいい
というのは、英語の[ ʌ ]の扱いに追随し、踏襲している。
この事実、すざまじいことだと思いませんか。
そこまでのことを日本人はできるのだろうか。
いや、
ここまで繊細な説明表現を
呵名によって実現できるようになった以上、
日本人もできるようになります。
* * * * * * * * * *
<18>ハングル韓国語の母音発音表と子音発音表
母音発音表と子音発音表
を掲載します。
子音については調音点ごとにまとまっているので
発音変化の根拠を確認するのに役立つこととなります。
母音についてはそれぞれの音色ごとに区切っているので
かつて細分化されていた母音のうち何と何が同化しているのか直感的に理解できます。
エは
複合母音として扱われています。
ᅦ[ e ]【エ】は
ᅥ[ ʌ ]【ア】と
ᅵ[ i ]【イ】を
組み合わせたもの。
ᅢ[ ɛ ]【エ】は
ᅡ[ a ]【ア】と
ᅵ[ i ]【イ】を
組み合わせたもの。
<17>にて
ᅥの母音推移(ᅥオからᅥァに)
の詳細を解説しています。
ハングルが生まれた15世紀にまでさかのぼると
ᅢ[ ai ]【アイ】と
発音したそうです。
ᅢは二重母音だったのですね。
ハングルの短い縦棒や短い横棒のもともとは点。
・は太陽。
ㅡは大地。
ㅣは人間。
・ㅡㅣは
天地人を
表したのがハングルの考え方のルーツ。
ᅩとは
大地の上に太陽がある朝
よって
ᅩ[ o ]【オ】は
陽母音。
ᅮとは
大地の下に太陽がある夕
よって
ᅮ[ u ]【ウ】は
陰母音。
ᅡとは
人間の南に太陽がある昼
よって
ᅡ[ a ]【ア】は
陽母音。
ᅥとは
人間の北に太陽がある夜
よって
ᅥ[ ə ]【ア】は
陰母音。
[ ə ]がᅥの創設当初の音であり
厳密な国際音声記号に従うと
[ ɐ ]より少し上。
ほぼほぼ[ ə ]と[ ɐ ]は同じ音とみなせます。
[ ə ]は英語の発音だとシュワー、弱母音ならすべてこれです。
英語の発音記号ってほんと自由なんだよな。
韓国のハングルでも
ᅰ[ weː ]【ウエー】は
ᅮ[ u ]【ウ】と
ᅦ[ e ]【エ】の組み合わせで、本来は
ᅰ[ ue ]【ウエ】と
まあ近いのですが、
だったら
ᅬ[ we ]【ウエ】は
ᅵ[ i ]【イ】
ᅩ[ o ]【オ】の組み合わせで、本来は
ᅬ[ io ]【イオ】のはずが、だいぶ遠ざかっています。
ᅫ[ wɛ ]【ウエ】は
ᅩ[ o ]【オ】と
ᅢ[ ɛ ]【エ】の組み合わせで、本来は
ᅫ[ oɛ ]【オエ】のはずです。
まあそんなもんです。
使っているうちに曖昧になったり付かず離れずになったり。
いずれにせよ現在の実際の発音では
ᅰもᅬもᅫも
[ wɛ ]【ウエ】
で統一です。
wの二重母音は元のハングル記号との乖離が見られるのです。
その点jの二重母音は法則が綺麗に整っています。
短線を2本にすると、[ j ]【イ】が付くのです。
短線を2本にするとはすなわち、太陽が2つになるのですね。
量子もつれの光子を可視化すると
陰陽太極図
が現れることが今月話題になりましたね。
世界の本質は、やはり陰陽だったのです。
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2409/09/news051.html
なお、日本語や英語では子音扱いである
y [ j ]や
w [ w ]は
ハングル韓国語では母音扱いです。
[ j ]【イ】の正体は
[ ɪ ]【イ】の音。
[ ɪɪ ]と同じ記号が続くのを避けるために[ jɪ ]【イイ】としました。
[ w ]【ウ】の正体は
[ ʊ ]【ウ】の音。
[ ʊʊ ]と同じ記号が続くのを避けるために[ wʊ ]【ウウ】としました。
ハングル韓国語としては、そう考えてください。
《ハングル韓国語のIPA発音記号&小大式呵名発音記号の用語一覧》
母音 | |
[ i ]【イ】 | 舌の先を最も上げる母音 前舌狭段半狭音(平唇) |
[ ɪ ]【イ】 [ j ]【イ】 |
舌の先を最も上げる母音[i]よりも少しだけあごを広げて舌を内側に 前舌狭段半広音(平唇) |
[ ɛ ]【エ】 | 舌の先を中ほどまで下げる母音 前舌中段半広音(平唇) |
[ e ]【エ】 | 舌の先を中ほどまで下げる母音[ɛ]よりも少しだけあごを閉じて舌を内側に 前舌中段半狭音(平唇) |
[ a ]【ア】 | 舌全体を下げてあごを開く母音 中舌広段半広音(平唇) |
[ ʌ ]【ア】 | 舌全体を下げてあごを開く母音[a]よりも少しだけあごを閉じて(国際音声記号における[ɐ]) 中舌広段半狭音(平唇) |
[ ɔ ]【オ】 | 舌の奥を中ほどまで下げる母音 後舌中段半広音(円唇) |
[ o ]【オ】 | 舌の奥を中ほどまで下げる母音[ɔ]よりも少しだけあごを閉じて舌を内側に 後舌中段半狭音(円唇) |
[ u ]【ウ】 | 舌の奥を最も上げる母音 後舌狭段半狭音(円唇) |
[ ʊ ]【ウ】 [ w ]【ウ】 |
舌の奥を最も上げる母音[u]よりも少しだけあごを広げて舌を内側に 後舌狭段半広音(円唇) |
子音 | |
[ ʰ ]【っ】 | 激音。中国語での詰まる音である帯気音。子音と母音の間に生じる、勢いのある息の流れ。 |
[ ˭ ]【ッ】 | 濃音。日本語での詰まる音である促音。母音と子音の間に生じる、長子音の前半。 |
[ p ]【プ】 | 上下の唇で破裂させる澄んだ音 破裂音(両唇)無声音 |
[ b ]【ブ】 | 上下の唇で破裂させる濁った音 破裂音(両唇)有声音 |
[ t ]【ト】 | 舌と歯茎で破裂させる澄んだ音 破裂音(歯茎)無声音 |
[ d ]【ド】 | 舌と歯茎で破裂させる濁った音 破裂音(歯茎)有声音 |
[ k ]【ク】 | 口蓋の奥で破裂させる澄んだ音 破裂音(軟口蓋)無声音 |
[ g ]【グ】 | 口蓋の奥で破裂させる濁った音 破裂音(軟口蓋)有声音 |
[ s ]【ス】 | 舌と歯茎で摩擦させる澄んだ音 摩擦音(歯茎)無声音 |
[ ʧ ]【チ】 | 歯茎の上で破擦させる澄んだ音 破擦音(歯茎奥)無声音 |
[ ʤ ]【ヂ】 | 歯茎の上で破擦させる濁った音 破擦音(歯茎奥)有声音 |
[ m ]【ム】 | 上下の唇から鼻に抜く濁った音 鼻音(両唇)有声音 |
[ n ]【ヌ】 | 舌と歯茎から鼻に抜く濁った音 鼻音(歯茎)有声音 |
[ ŋ ]【ンぐ】 | 口蓋の奥から鼻に抜く濁った音 鼻音(軟口蓋)有声音 |
[ ɾ ]【ル】 | 舌を歯茎に叩き弾く濁った音(日本語のラ行と同じ) 叩弾音(歯茎)有声音 |
[ ɭ ]【れ】 | 舌を歯茎に密着させる濁った音 側流音(歯茎)有声音 |
[ h ]【フ】 | 濁った母音を澄ませて子音化した音 摩擦音(声門)子音化母音・無声音 |
* * * * * * * * * *
<19>連音化
いよいよ総仕上げの連音化です。
連音化とは、終声の子音と初声の母音をつなぐこと。
なぜハングル韓国語の発音変化を学んできたのか。
それは
ポン・ジュノ監督
が語った言葉を
呵名で再現したかったからです。
ハングル韓国語コンバーターで出力すると
こうなります。
息継ぎを1度しているので
この文章は2文とみなします。
일 인 치 정 도 되 는 자 막 의 장 벽 을 뛰 어 넘 으 면
①【イれ イヌ チっイ チアンぐ ト トウエ ヌウヌ チア マグ ウイ チアンぐ ピヤグ ウウれ ットウイ ア ナム ウウ ミヤヌ】
① [ iɭ in ʧʰi ʧʌŋ to twe nʊn ʧa mag wɪ ʧaŋ pjʌg wʊɭ ˭twi ʌ nʌm wʊ mjʌn ]
②【イれ イヌ チっイ チアンぐ ト トウエ ヌウヌ チア マグ ウイ チアンぐ ピヤグ ウウれ ットウイ ア ナム ウウ ミヤヌ】
② [ iɭ in ʧʰi ʧʌŋ to twe nʊn ʧa mag wɪ ʧaŋ pjʌg wʊɭ ˭twi ʌ nʌm wʊ mjʌn ]
③【イれ イヌ ヂっイ ヂアンぐ ド ドウエ ヌウヌ ヂア マグ イイ ヂアンぐ ビヤグ ウウれ ットウイ ア ナム ウウ ミヤヌ】
③ [ iɭ in ʤʰi ʤʌŋ do dwe nʊn ʤa mag jɪ ʤaŋ bjʌg wʊɭ ˭twi ʌ nʌm wʊ mjʌn ]
④【イれ イヌ ヂっイ ヂアンぐ ド ドウエ ヌウヌ ヂア マグ イイ ヂアンぐ ビヤグ ウウれ ットウイ ア ナム ウウ ミヤヌ】
④ [ iɭ in ʤʰi ʤʌŋ do dwe nʊn ʤa mag jɪ ʤaŋ bjʌg wʊɭ ˭twi ʌ nʌm wʊ mjʌn ]
여 러 분 들 이 훨 씬 더 많 은 영 화 를 즐 길 수 있 습 니 다 .
①【イヤ ラ プヌ トウウれ イ フワれ ッシヌ タ マヌっ ウウヌ イヤンぐ フワ ルウれ チウウれ キれ ス イス スウブ ニ タ <.>】
① [ jʌ ɾʌ pun tʊɭ i hwʌɭ ˭sin tʌ manʰ wʊn jʌŋ hwa ɾʊɭ ʧʊɭ kiɭ su is sʊb ni ta <.> ]
②【イヤ ラ プヌ トウウれ イ フワれ ッシヌ タ マヌ ウウヌ イヤンぐ フワ ルウれ チウウれ キれ ス イッス スウブ ニ タ <.>】
② [ jʌ ɾʌ pun tʊɭ i hwʌɭ ˭sin tʌ man wʊn jʌŋ hwa ɾʊɭ ʧʊɭ kiɭ su i˭s sʊb ni ta <.> ]
③【イヤ ラ ブヌ ドウウれ イ フワれ ッシヌ ダ マヌっ ウウヌ イヤンぐ フワ ルウれ ヂウウれ ギれ ス イス スウブ ニ ダ <.>】
③ [ jʌ ɾʌ bun dʊɭ i hwʌɭ ˭sin dʌ manʰ wʊn jʌŋ hwa ɾʊɭ ʤʊɭ giɭ su is sʊb ni da <.> ]
④【イヤ ラ ブヌ ドウウれ イ フワれ ッシヌ ダ マヌ ウウヌ イヤンぐ フワ ルウれ ヂウウれ ギれ ス イッス スウブ ニ ダ <.>】
④ [ jʌ ɾʌ bun dʊɭ i hwʌɭ ˭sin dʌ man wʊn jʌŋ hwa ɾʊɭ ʤʊɭ giɭ su i˭s sʊb ni da <.> ]
出力されました。
で。
ええっと。
何するんだっけ。
あのですね。
私だって初心者なわけなんです。
そうですよ。
だってそうです。
今年から
2024年6月17日からだから3か月前から
初めて韓国ハングル語を勉強始めたわけですから。
その初心者が迷いそうなところを
ぎゅっと瞬間冷凍して
文章として閉じ込める。
それがこのページの最大の意義なわけですから。
分かるようになると
何が分からなかったのか分からなくなっちゃう。
まあいいから。
私に任せたまえ。
そんな不安そうな顔をするなよ。
まずは
①②③④もあるのは多すぎるので
ひとつにまとめましょう。
①②③④はそれぞれ
①文頭で子音前
②文頭で母音前
③文中で子音前
④文中で母音前
を表すのでした。
ただ、この文はそもそも
無声音と有声音の両方を有するハングルが文頭にないので
③④だけ残しましょう。
ついでに発音記号内の最後のピリオドも意味ないので取っちゃいましょうね。
일 인 치 정 도 되 는 자 막 의 장 벽 을 뛰 어 넘 으 면
③【イれ イヌ ヂっイ ヂアンぐ ド ドウエ ヌウヌ ヂア マグ イイ ヂアンぐ ビヤグ ウウれ ットウイ ア ナム ウウ ミヤヌ】
③ [ iɭ in ʤʰi ʤʌŋ do dwe nʊn ʤa mag jɪ ʤaŋ bjʌg wʊɭ ˭twi ʌ nʌm wʊ mjʌn ]
④【イれ イヌ ヂっイ ヂアンぐ ド ドウエ ヌウヌ ヂア マグ イイ ヂアンぐ ビヤグ ウウれ ットウイ ア ナム ウウ ミヤヌ】
④ [ iɭ in ʤʰi ʤʌŋ do dwe nʊn ʤa mag jɪ ʤaŋ bjʌg wʊɭ ˭twi ʌ nʌm wʊ mjʌn ]
여 러 분 들 이 훨 씬 더 많 은 영 화 를 즐 길 수 있 습 니 다 .
③【イヤ ラ ブヌ ドウウれ イ フワれ ッシヌ ダ マヌっ ウウヌ イヤンぐ フワ ルウれ ヂウウれ ギれ ス イス スウブ ニ ダ】
③ [ jʌ ɾʌ bun dʊɭ i hwʌɭ ˭sin dʌ manʰ wʊn jʌŋ hwa ɾʊɭ ʤʊɭ giɭ su is sʊb ni da ]
④【イヤ ラ ブヌ ドウウれ イ フワれ ッシヌ ダ マヌ ウウヌ イヤンぐ フワ ルウれ ヂウウれ ギれ ス イッス スウブ ニ ダ】
④ [ jʌ ɾʌ bun dʊɭ i hwʌɭ ˭sin dʌ man wʊn jʌŋ hwa ɾʊɭ ʤʊɭ giɭ su i˭s sʊb ni da ]
③文中で子音前
④文中で母音前
なのですが、ほとんどのハングルが
子音前
なので③をベースにし、
④の中で実際に母音前にあるハングルで、なおかつ、③と④で発音表記が異なるものを③に組み込みます。
ハングル2行目の9語目の
많[ man ]【マヌ】
ハングル2行目のうしろから4語目の
있[ i˭s ]【イッス】
が該当します。
組み込んだ結果です。
일 인 치 정 도 되 는 자 막 의 장 벽 을 뛰 어 넘 으 면
【イれ イヌ ヂっイ ヂアンぐ ド ドウエ ヌウヌ ヂア マグ イイ ヂアンぐ ビヤグ ウウれ ットウイ ア ナム ウウ ミヤヌ】
[ iɭ in ʤʰi ʤʌŋ do dwe nʊn ʤa mag jɪ ʤaŋ bjʌg wʊɭ ˭twi ʌ nʌm wʊ mjʌn ]
여 러 분 들 이 훨 씬 더 많 은 영 화 를 즐 길 수 있 습 니 다 .
【イヤ ラ ブヌ ドウウれ イ フワれ ッシヌ ダ マヌ ウウヌ イヤンぐ フワ ルウれ ヂウウれ ギれ ス イッス スウブ ニ ダ】
[ jʌ ɾʌ bun dʊɭ i hwʌɭ ˭sin dʌ man wʊn jʌŋ hwa ɾʊɭ ʤʊɭ giɭ su i˭s sʊb ni da ]
さてこれが
これまで学んできた発音変化に該当しないか
見ていきましょう。
有声音化
は①②③④を統合する際にクリアしています。
ただ、外来語の発音に準じるという例外がありましたので
すでに検討したインチに関して修正を加えます。
일 인 치 정 도 되 는 자 막 의 장 벽 을 뛰 어 넘 으 면
【イれ イヌ チっイ ヂアンぐ ド ドウエ ヌウヌ ヂア マグ イイ ヂアンぐ ビヤグ ウウれ ットウイ ア ナム ウウ ミヤヌ】
[ iɭ in ʧʰi ʤʌŋ do dwe nʊn ʤa mag jɪ ʤaŋ bjʌg wʊɭ ˭twi ʌ nʌm wʊ mjʌn ]
여 러 분 들 이 훨 씬 더 많 은 영 화 를 즐 길 수 있 습 니 다 .
【イヤ ラ ブヌ ドウウれ イ フワれ ッシヌ ダ マヌ ウウヌ イヤンぐ フワ ルウれ ヂウウれ ギれ ス イッス スウブ ニ ダ】
[ jʌ ɾʌ bun dʊɭ i hwʌɭ ˭sin dʌ man wʊn jʌŋ hwa ɾʊɭ ʤʊɭ giɭ su i˭s sʊb ni da ]
ㅎの無音化(Hの無音化)
を次に見ていきます。
ハングル2行目の6語目の
퉐[ hwʌɭ ]【フワれ】
ハングル2行目の12語目の
퐈[ hwa ]【フワ】
が該当します。
修正した結果です。
일 인 치 정 도 되 는 자 막 의 장 벽 을 뛰 어 넘 으 면
【イれ イヌ チっイ ヂアンぐ ド ドウエ ヌウヌ ヂア マグ イイ ヂアンぐ ビヤグ ウウれ ットウイ ア ナム ウウ ミヤヌ】
[ iɭ in ʧʰi ʤʌŋ do dwe nʊn ʤa mag jɪ ʤaŋ bjʌg wʊɭ ˭twi ʌ nʌm wʊ mjʌn ]
여 러 분 들 이 훨 씬 더 많 은 영 화 를 즐 길 수 있 습 니 다 .
【イヤ ラ ブヌ ドウウれ イ ワれ ッシヌ ダ マヌ ウウヌ イヤンぐ ワ ルウれ ヂウウれ ギれ ス イッス スウブ ニ ダ】
[ jʌ ɾʌ bun dʊɭ i wʌɭ ˭sin dʌ man wʊn jʌŋ wa ɾʊɭ ʤʊɭ giɭ su i˭s sʊb ni da ]
激音化
を次に見ていきます。
激音化に該当する語がなかったので
次に移ります。
濃音化
を次に見ていきます。
濃音化に該当する語がなかったので
次に移ります。
流音化
を次に見ていきます。
流音化に該当する語がなかったので
次に移ります。
鼻音化
を次に見ていきます。
ハングル2行目の後ろから3語目の
습[ sʊb ]【スウブ】
が該当します。
修正した結果です。
일 인 치 정 도 되 는 자 막 의 장 벽 을 뛰 어 넘 으 면
【イれ イヌ チっイ ヂアンぐ ド ドウエ ヌウヌ ヂア マグ イイ ヂアンぐ ビヤグ ウウれ ットウイ ア ナム ウウ ミヤヌ】
[ iɭ in ʧʰi ʤʌŋ do dwe nʊn ʤa mag jɪ ʤaŋ bjʌg wʊɭ ˭twi ʌ nʌm wʊ mjʌn ]
여 러 분 들 이 훨 씬 더 많 은 영 화 를 즐 길 수 있 습 니 다 .
【イヤ ラ ブヌ ドウウれ イ ワれ ッシヌ ダ マヌ ウウヌ イヤンぐ ワ ルウれ ヂウウれ ギれ ス イッス スウム ニ ダ】
[ jʌ ɾʌ bun dʊɭ i wʌɭ ˭sin dʌ man wʊn jʌŋ wa ɾʊɭ ʤʊɭ giɭ su i˭s sʊm ni da ]
口蓋音化
を次に見ていきます。
口蓋音化に該当する語がなかったので
次に移ります。
ㄴ挿入(N挿入)
を次に見ていきます。
ハングル2行目の11語目の
영[ sʊb ]【イヤンぐ】
が該当します。
修正した結果です。
일 인 치 정 도 되 는 자 막 의 장 벽 을 뛰 어 넘 으 면
【イれ イヌ チっイ ヂアンぐ ド ドウエ ヌウヌ ヂア マグ イイ ヂアンぐ ビヤグ ウウれ ットウイ ア ナム ウウ ミヤヌ】
[ iɭ in ʧʰi ʤʌŋ do dwe nʊn ʤa mag jɪ ʤaŋ bjʌg wʊɭ ˭twi ʌ nʌm wʊ mjʌn ]
여 러 분 들 이 훨 씬 더 많 은 영 화 를 즐 길 수 있 습 니 다 .
【イヤ ラ ブヌ ドウウれ イ ワれ ッシヌ ダ マヌ ウウン ニヤンぐ ワ ルウれ ヂウウれ ギれ ス イッス スウム ニ ダ】
[ jʌ ɾʌ bun dʊɭ i wʌɭ ˭sin dʌ man wʊn njʌŋ wa ɾʊɭ ʤʊɭ giɭ su i˭s sʊm ni da ]
의の発音(ィィの発音)
を次に見ていきます。
ハングル1行目の10語目の
의[ jɪ ]【イイ】
が該当します。
このでの의は助詞「の」ですので。
修正した結果です。
일 인 치 정 도 되 는 자 막 의 장 벽 을 뛰 어 넘 으 면
【イれ イヌ チっイ ヂアンぐ ド ドウエ ヌウヌ ヂア マグ エ ヂアンぐ ビヤグ ウウれ ットウイ ア ナム ウウ ミヤヌ】
[ iɭ in ʧʰi ʤʌŋ do dwe nʊn ʤa mag e ʤaŋ bjʌg wʊɭ ˭twi ʌ nʌm wʊ mjʌn ]
여 러 분 들 이 훨 씬 더 많 은 영 화 를 즐 길 수 있 습 니 다 .
【イヤ ラ ブヌ ドウウれ イ ワれ ッシヌ ダ マヌ ウウン ニヤンぐ ワ ルウれ ヂウウれ ギれ ス イッス スウム ニ ダ】
[ jʌ ɾʌ bun dʊɭ i wʌɭ ˭sin dʌ man wʊn njʌŋ wa ɾʊɭ ʤʊɭ giɭ su i˭s sʊm ni da ]
最後にいくつか細かい修正を加えます。
ハングル2行目の17語目と18語目
있 습[ i˭s sʊm ]【イッス スウム】
は濃音をアルファベットに戻すと
있 습[ iss sʊm ]
のことですので、sの音が3つも並んでいます。
さすがに2つで充分ですので
있 습[ is sʊm ]【イッ スウム】
といたします。
修正した結果です。
일 인 치 정 도 되 는 자 막 의 장 벽 을 뛰 어 넘 으 면
【イれ イヌ チっイ ヂアンぐ ド ドウエ ヌウヌ ヂア マグ エ ヂアンぐ ビヤグ ウウれ ットウイ ア ナム ウウ ミヤヌ】
[ iɭ in ʧʰi ʤʌŋ do dwe nʊn ʤa mag e ʤaŋ bjʌg wʊɭ ˭twi ʌ nʌm wʊ mjʌn ]
여 러 분 들 이 훨 씬 더 많 은 영 화 를 즐 길 수 있 습 니 다 .
【イヤ ラ ブヌ ドウウれ イ ワれ ッシヌ ダ マヌ ウウン ニヤンぐ ワ ルウれ ヂウウれ ギれ ス イッ スウム ニ ダ】
[ jʌ ɾʌ bun dʊɭ i wʌɭ ˭sin dʌ man wʊn njʌŋ wa ɾʊɭ ʤʊɭ giɭ su is sʊm ni da ]
上記のように、
終声と初声の調音点が同じならば、終声を「ッ」に置き換えてよいのです。
言いやすいですし、正しい。
また
終声の鼻音と初声の調音点が同じならば、終声を「ン」に置き換えてよいのです。
これもまた日本語のカナの発音の標準表記どおりです。
修正した結果です。
일 인 치 정 도 되 는 자 막 의 장 벽 을 뛰 어 넘 으 면
【イれ イン チっイ ヂアンぐ ド ドウエ ヌウン ヂア マグ エ ヂアンぐ ビヤグ ウウれ ットウイ ア ナム ウウ ミヤヌ】
[ iɭ in ʧʰi ʤʌŋ do dwe nʊn ʤa mag e ʤaŋ bjʌg wʊɭ ˭twi ʌ nʌm wʊ mjʌn ]
여 러 분 들 이 훨 씬 더 많 은 영 화 를 즐 길 수 있 습 니 다 .
【イヤ ラ ブン ドウウれ イ ワれ ッシン ダ マヌ ウウン ニヤンぐ ワ ルウれ ヂウウれ ギれ ス イッ スウム ニ ダ】
[ jʌ ɾʌ bun dʊɭ i wʌɭ ˭sin dʌ man wʊn njʌŋ wa ɾʊɭ ʤʊɭ giɭ su is sʊm ni da ]
あと
[ wʊ ]を【ウウ】
にしたり
[ jɪ ]を【イイ】
にしたりしてあるのは、ハングルの記号が異なる以上、同一の呵名を割り振らない
という原則を全うしようとしたからであり、
実際の発音では
【ウ】や【イ】で充分なので
大胆に剪定してしまいましょう。
修正した結果です。
일 인 치 정 도 되 는 자 막 의 장 벽 을 뛰 어 넘 으 면
【イれ イン チっイ ヂアンぐ ド ドウエ ヌン ヂア マグ エ ヂアンぐ ビヤグ ウれ ットウイ ア ナム ウ ミヤヌ】
[ iɭ in ʧʰi ʤʌŋ do dwe nʊn ʤa mag e ʤaŋ bjʌg wʊɭ ˭twi ʌ nʌm wʊ mjʌn ]
여 러 분 들 이 훨 씬 더 많 은 영 화 를 즐 길 수 있 습 니 다 .
【ヤ ラ ブン ドウれ イ ワれ ッシン ダ マヌ ウン ニヤンぐ ワ ルれ ヂウれ ギれ ス イッ スム ニ ダ】
[ jʌ ɾʌ bun dʊɭ i wʌɭ ˭sin dʌ man wʊn njʌŋ wa ɾʊɭ ʤʊɭ giɭ su is sʊm ni da ]
最後の修正点として
ㄹの発音(R/Lの発音)
に関することです。
終声 ᆯ [ ɭ ]【れ】
と口を酸っぱくするほど言い続けてきましたが、
正直なところ、この音は文末にしか生じないと実感しています。
文末と言いますか、息継ぎ直前の子音。
ハングル1行目の最後の語を
면[ mjʌn ]【ミヤヌ】
というふうに
あえて【ン】ではなく【ヌ】と残してあるように
子音の強調表記が
[ ɭ ]【れ】
だと思うのです。
終声ᆯが文中に生じたとき、
英語と同様、閉じたLの
[ l ]【う】
だと思います。
硬口蓋ではなく、歯茎が調音点。
文中に生じた終声ᆯを
[ ɭ ]【う】
として修正します。
また、
終声 ᆯ [ ɭ ]【れ】
の後に母音が生じる場合は
終声 ᆯ [ ɾ ]【ル】
に変更します。
修正した結果です。
일 인 치 정 도 되 는 자 막 의 장 벽 을 뛰 어 넘 으 면
【イリ イン チっイ ヂアンぐ ド ドウエ ヌン ヂア マグ エ ヂアンぐ ビヤグ ウう ットウイ ア ナム ウ ミヤヌ】
[ iɾ in ʧʰi ʤʌŋ do dwe nʊn ʤa mag e ʤaŋ bjʌg wʊɭ ˭twi ʌ nʌm wʊ mjʌn ]
여 러 분 들 이 훨 씬 더 많 은 영 화 를 즐 길 수 있 습 니 다 .
【ヤ ラ ブン ドウリ イ ワう ッシン ダ マヌ ウン ニヤンぐ ワ ルう ヂウう ギう ス イッ スム ニ ダ】
[ jʌ ɾʌ bun dʊɾ i wʌɭ ˭sin dʌ man wʊn njʌŋ wa ɾʊɭ ʤʊɭ giɭ su is sʊm ni da ]
呵名発音記号が実際版が完成しました。
ポン・ジュノ監督の実際の言葉と比べてみましょう。
(字幕という1インチの高さの壁を越えることができれば、)
일 인 치 정 도 되 는 자 막 의 장 벽 을 뛰 어 넘 으 면
【イリ イン チっイ ヂアンぐ ド ドウエ ヌン ヂア マグ エ ヂアンぐ ビヤグ ウう ットウイ ア ナム ウ ミヤヌ】
[ iɾ in ʧʰi ʤʌŋ do dwe nʊn ʤa mag e ʤaŋ bjʌg wʊɭ ˭twi ʌ nʌm wʊ mjʌn ]
(もっと多くの素晴らしい映画と出合うことができるのです。)
여 러 분 들 이 훨 씬 더 많 은 영 화 를 즐 길 수 있 습 니 다 .
【ヤ ラ ブン ドウリ イ ワう ッシン ダ マヌ ウン ニヤンぐ ワ ルう ヂウう ギう ス イッ スム ニ ダ】
[ jʌ ɾʌ bun dʊɾ i wʌɭ ˭sin dʌ man wʊn njʌŋ wa ɾʊɭ ʤʊɭ giɭ su is sʊm ni da ]
速度を超低速25%にしました。
再現に成功しました。
* * * * * * * * * *
<20>コンバーターでのᅥは、子音前①③は[ ʌ ]、母音前②④は[ ɔ ]
ちょっと待って。
泣きのもう一回。
もうひとつだけ修正させて。
ハングル韓国語に
안녕
という言葉がありますよね。
こんにちは
という意味の。
この語はどう考えても
アンニョン
であって
アンニャン
ではない。
コンバーターにおいては
ᅥは[ ʌ ]に統一するつもりでいたけど、
やっぱり[ ɔ ]も必要だぞ。
どうする。
そこで
苦肉の策として
コンバーターでのᅥは、
子音前①③は[ ʌ ]、
母音前②④は[ ɔ ]、
としました。
このページは
修正前のコンバーターに基づいて作成していますが
2024年9月22日に
ᅥに関する部分に修正を施しました。
念を押しておきたいのですが
実際には
子音前①③は[ ʌ ]、
母音前②④は[ ɔ ]、
などという区別はない。
どちらでもよい。
そのどちらであるかは、発音した人の発音が正しい。
母音前②④を[ ɔ ]にした理由は
母音前である以上、必ず連音化するので、その語をよく見る。
その際に、違和感に気づいて、
正しく直してくれるんじゃないかな、
という期待値。
母音前②④の方が発生頻度が少ないし。
そんな発音のルールにもない無茶苦茶なことするなよ。
だったら
[ ʌ ]だけでいいんだな。
[ ʌ ]はア。
[ ɔ ]はオ。
大きさが違うから自力でサイズ変更の修正までするのだいぶ大変だぞ。
これならコピペだけで済むんだ。
いいからいいから。
例外事項として
このことも覚えておいてください。
ここまで読んだ人だけが
正しく修正できる。
ポン・ジュノ監督も
一か所だけ
[ ɔ ]オで発音しているところがあるのです。
それが1行目の
정
ヂオンぐ
[ ʤɔŋ ]
というハングルです。
정도
ヂオンぐ ド
[ ʤɔŋ do ]
で「程度」という意味です。
実際には、[ ʌ ]は新しい語において、[ ɔ ]はおなじみの古い語において発音される。
そう分析しています。
「こんにちは」も「程度」も古くからあるおなじみの語。
ᅥはもともと[ ɔ ]で、近年[ ʌ ]に移行中
という発音現象の理屈にも合致する。
今度こそ
呵名発音記号が実際版が完成しました。
ポン・ジュノ監督の実際の言葉と比べてみましょう。
(字幕という1インチの高さの壁を越えることができれば、)
일 인 치 정 도 되 는 자 막 의 장 벽 을 뛰 어 넘 으 면
【イリ イン チっイ ヂオンぐ ド ドウエ ヌン ヂア マグ エ ヂアンぐ ビヤグ ウう ットウイ ア ナム ウ ミヤヌ】
[ iɾ in ʧʰi ʤɔŋ do dwe nʊn ʤa mag e ʤaŋ bjʌg wʊɭ ˭twi ʌ nʌm wʊ mjʌn ]
(もっと多くの素晴らしい映画と出合うことができるのです。)
여 러 분 들 이 훨 씬 더 많 은 영 화 를 즐 길 수 있 습 니 다 .
【ヤ ラ ブン ドウリ イ ワう ッシン ダ マヌ ウン ニヤンぐ ワ ルう ヂウう ギう ス イッ スム ニ ダ】
[ jʌ ɾʌ bun dʊɾ i wʌɭ ˭sin dʌ man wʊn njʌŋ wa ɾʊɭ ʤʊɭ giɭ su is sʊm ni da ]
超低速25%。
今度こそ
再現に成功しました。
ポン・ジュノ監督が実際には
자 막 의
のところでゴニョっているのは
もうゆるして。。
자막의は
「字幕の」。
* * * * * * * * * *
<21>文節ごと尻上がりなイントネーション
韓国語においては
単語ごとのイントネーションはありません。
ですので、他の言語では存在する
イントネーション記号(本サイトではアンダーライン)
はハングル韓国語には存在しません。
ただ、
イントネーションそのものは韓国語にも存在します。
それは
文節ごとに尻上がりになる、というものです。
文節とは
1つの自立語と0以上の付属語のかたまり。
「お姉ちゃんが学校に行く。」
ネを入れて切る、というやつです。
「お姉ちゃんがネ/学校にネ/行くネ。」
よって文節で切った結果がこれです。
「お姉ちゃんが/学校に/行く。」
ポン・ジュノ監督も文節ごとにイントネーションが尻上がり。
ハングル韓国語の更なるイントネーションの勉強に最適なのが
韓国のお笑い番組『생활 사투리(生活方言)』(KBS COMEDY ユーチューブチャンネル)
文節ごとに尻上がりにすると標準語になるというネタ。
上級者向けの教材です。
https://www.youtube.com/watch?v=_lXSAqmJ_a8
* * * * * * * * * *
あと
最後に。
韓国人のみなさんが
世界中で活躍している原動力が
ハングルにあるのは間違いありません。
曰く、
ハングルなら、世界中の言語を話すことができる、と。
ただ、
ハングルですら、ない音があります。
fもvもtsもzもない。
とはいえわずかですし、すでにあるハングルを応用すれば
ない音を理解するのは難しくないのも事実です。
むしろ、
ハングルなら世界中で話せる
というイメージこそが重要なのであって。
これはまさに勇気。
鈴木亮平さまが
「お隣の韓国に20年くらい差を空けられている。」
と語りました。
『だれかtoなかい』にて。
本当にその通りだと思っています。
おそらく
象徴的でいいのだと思う。
外国語のできない民族。
どの外国語でもできる日本の発音記号が今なら存在する。
存在することが大事。
今からは世界中で活躍できる日本人。
呵名があれば日本もできる。
そう思いながら続けているのです。
* * * * * * * * * *
<まとめ>
<01>有声音化(無声音と有声音について)
・母音はすべて有声音。その母音に挟まれた子音は有声音で言う。
・文頭は無声音のままで。
(例外:外来語由来の単語は、その外来語の発音に順じる。)
<02>平音と激音と濃音
・平音に【っ】[ ʰ ]が付いたのが激音。子音と母音の間に生じる、勢いのある息の流れ。中国語での詰まる音である帯気音。
・平音に【ッ】[ ˭ ]が付いたのが濃音。母音と子音の間に生じる、長子音の前半。日本語での詰まる音である促音。
<03>ハングルで五十音表、ハングルのカナダラ表
・ᄋ(ア行)、ᄀ(カ行)、ᄉ(サ行)、ᄃ(タ行)、ᄂ(ナ行)、ᄒ(ハ行)、ᄆ(マ行)、ᄅ(ラ行)
・ㄱ [g]、ㄴ [n]、ㄷ [d]、ㄹ [ɾ]、ㅁ [m]、ㅂ [b]、ㅅ [s]、ㅇ [ ]、ㅈ [ʤ]、ㅎ [h]
<04>初声と中声とパッチム(終声)
・初声(ㄱ、ㄲ、ㄴ、ㄷ、ㄸ、ㄹ、ㅁ、ㅂ、ㅃ、ㅅ、ㅆ、ㅇ、ㅈ、ㅉ、ㅊ、ㅋ、ㅌ、ㅍ、ㅎ)
・中声(ㅏ、ㅐ、ㅑ、ㅒ、ㅓ、ㅔ、ㅕ、ㅖ、ㅗ、ㅘ、ㅙ、ㅚ、ㅛ、ㅜ、ㅝ、ㅞ、ㅟ、ㅠ、ㅡ、ㅢ、ㅣ)
<05>パッチム(終声)7代表音
・終声(ㄱ、ㄲ、ㄳ、ㄴ、ㄵ、ㄶ、ㄷ、ㄹ、ㄺ、ㄻ、ㄼ、ㄽ、ㄾ、ㄿ、ㅀ、ㅁ、ㅂ、ㅄ、ㅅ、ㅆ、ㅇ、ㅈ、ㅊ、ㅋ、ㅌ、ㅍ、ㅎ)
・ᆮ [ d ]、ᇀ [ dʰ / d ]、ᆺ [ s ]、ᆻ [ ˭s / s ]、ᆽ [ ʤ ]、ᆾ [ ʤʰ / ʤ ]、ᇂ [ ʰ / ]のパッチム(終声)代表音はᆮ [ d ]
<06>二重パッチム(二重終声)
・左のみ発音 ᆪ [ gs / g ]ᆬ [ nʤ / n ]、ᆭ [ nʰ / n ]、ᆳ [ ɭs / ɭ ]、ᆴ [ ɭdʰ / ɭ ]、ᆶ [ ɭʰ / ɭ ]、ᆹ [ bs / b ]
・右のみ発音 ᆰ [ ɭg / g ]、ᆱ [ ɭm / m ]、ᆵ [ ɭbʰ / bʰ ]
・左のみ発音と右のみ発音の両方 ᆲ [ ɭb / ɭ / b ]
<07>ㄹの発音(R/Lの発音)
・初声ㄹは[ ɾ ]、日本語のラ行
・終声ㄹは[ ɭ ]【れ】
<08>激音化
・終声の子音の後に初声ㅎ[ h ]が続くと、激音[ ʰ ]になる。
・終声ㅎ[ ʰ ]の後に初声の子音が続くと、初声の子音が激音[ ʰ ]になる。
<09>ㅎの無音化(Hの無音化)
・母音の後に初声ㅎ[ h ]が続くと、初声ㅎは発音されない。
・終声ㅎ[ ʰ ]の後に母音が続くと、終声ㅎは発音されない。
<10>濃音化
・破裂音の終声の後に破裂音の初声が続くと、濃音[ ˭ ]になる。
・破裂音の終声の後に破擦音や摩擦音の初声が続くと、濃音[ ˭ ]になる。
<11>流音化
・終声ㄹ[ ɭ ]の後に、初声ㄴ[ n ]が続くと、ㄹㄹ[ ɭɭ ]になる。
・終声ㄴ[ n ]の後に、初声ㄹ[ ɾ ]が続くと、ㄹㄹ[ ɭɾ ]になる。
<12>鼻音化
・終声ㅂ[ b ]、終声ㄷ[ d ]、終声ㄱ[ g ]の後に、鼻音の初声が続くと、終声が鼻音になる。
・終声ㅁ[ m ]、終声ᆼ[ ŋ ]の後に、初声ㄹ[ ɾ ]が続くと、鼻音ㅁㄴ[ mn ]、鼻音ᆼㄴ[ ŋn ]になる。
<13>口蓋音化
・終声ㄷ[ d ]、終声ㅌ[ dʰ ]の後に、이[ i ]が続くと、지[ ʤi ]、치[ ʤʰi ]になる。
・ディがヂになる。
<14>ㄴ挿入(N挿入)
・終声ㄴ[ n ]の後に、이[ i ]が続くと、ㄴ니[ nni ]になる。
・終声ㄴ[ n ]の後に、[ j ]が続くと、[ nnj ]になる。
<15>의の発音(ィィの発音)
・文頭のとき 의 [ wɪ ]。文中のとき 의 [ jɪ ]。
・助詞「の」のとき 의 [ e ]。
<16>ᅢエとᅦェの同化
・ᅢ[ ɛ ]とᅦ[ e ]を今の韓国では区別していない。
呵名で大小が違うのみの同一カナは同じ音として発音してよい。
<17>ᅥの母音推移(ᅥオからᅥァに)
・ᅥは[ ʌ ]と[ ɔ ]のどちらでもよい。
・英語の[ ʌ ]の発音の揺れ方と同様の現象。
<18>ハングル韓国語の母音発音表と子音発音表
・母音発音表については母音の音色ごとに区切った表。
・子音発音表については子音の調音点ごとにまとめた表。
<19>連音化
・連音化とは、終声の子音と初声の母音をつなぐこと。
・ポン・ジュノ監督の言葉を例に総復習を兼ねて。
<20>コンバーターでのᅥは、子音前①③は[ ʌ ]、母音前②④は[ ɔ ]
・[ ʌ ]は子音前の①③に、[ ɔ ]は母音前の②④にしたが、子音前/母音前の区分などなく、どちらでもよい。
・実際には、[ ʌ ]は新しい語において、[ ɔ ]はおなじみの古くからある語において発音される。
<21>文節ごと尻上がりなイントネーション
・韓国語には単語ごとのイントネーションはない。
・文節ごとにイントネーションが尻上がりになる。
* * * * * * * * * *
以下のリンク先も参照してください。
『ゼロから韓国語を1年勉強しました』(與座ひかる)デイリーポータルZ
『ウィキペディア:ハングル』
『위키낱말사전:국제 음성 기호』(Wiktionary:International phonetic symbols)ウィクショナリー:国際音声記号